1999 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍間質をターゲットとした癌の遺伝子治療の基礎的検討
Project/Area Number |
11670567
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
滝口 裕一 千葉大学, 医学部・附属病院, 助手 (30272321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 弘 千葉大学, 医学部, 助教授 (20195374)
栗山 喬之 千葉大学, 医学部, 教授 (20009723)
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Keywords | 肺癌 / 腫瘍間質 / 線維芽細胞 / 肺小細胞癌 / HGF / VEGF |
Research Abstract |
ヒト肺小細胞癌株(Wa)とその間質線維芽細胞(W-fib)を分離培養、共培養を行い、これらの相互作用について検討した。Waを単独で培養した場合のplating efficiencyが27%であったのに対し、Wa-fをfeederとして共培養した場合のWaのplating efficiencyは46%であり、有意に亢進していた。ヌードマウスの皮下に接種し、腫瘍を形成させる実験においても、Wa細胞を単独で10^6個接種する場合に比べ、Wa-fを同数混じて接種する場合は、腫瘍形成の潜時の有意な短縮を認めた。以上より、in vitro、in vivoいずれにおいても、肺癌細胞Waの増殖、腫瘍形成において、その間質細胞である線維芽細胞Wa-fは何らかの促進作用があると思われる。 次に、Wa-f細胞に対し、in vitroにてβ-gal遺伝子を導入し、化学染色によりWa-f細胞を特異的に染色同定できるように処理した後、Wa細胞とWa-f細胞を混じでヌードマウス皮下に接種し、腫瘍形成過程における線維芽細胞の役割を形態的に観察することに成功した。腫瘍が島状に増殖し、β-gal陽性の線維芽細胞はその島状の塊を取り巻くように観察され、また腫瘍内の血管にも沿ってもその存在が確認された。WaとWa-f細胞の相互作用のメカニズムを解析する目的で、培養上清中の各種増殖因子をELISAにより測定した。共培養開始24時間後に、培養上清中のHGFは一旦著増し、48時間以内に消失した。その直後よりVGEFが数日にわたって著増した。一方、Wa単独、Wa-f単独培養では、HGF、VGEFは全く検出されなかった。以上よりWaの増殖、腫瘍形成に、Wa-fはin vitro、in vivoともに促進的に働くが、この作用にはHGF、VGEFのような増殖因子が深く関与していると思われた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Miyazawa T, Takiguchi Y, et al.: "Implantation of Ultraflex mitinol stents in malignant tracheobronchial stenoses"Chest. (in press). (2000)
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[Publications] 滝口裕一、et al.: "肺野末梢病変に対する、車載型ヘリカルCTの画像評価"肺癌. 39・6. 835-842 (1999)
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[Publications] 須田明、滝口裕一、 et al.: "原発性肺癌骨転移診断における血中I型コラーゲン-C-テロペプチド(ICTP)測定の有用性"呼吸. 18・3. 313-317 (1999)