2000 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍間質をターゲットとした癌の遺伝子治療の基礎的検討
Project/Area Number |
11670567
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
滝口 裕一 千葉大学, 医学部・附属病院, 助手 (30272321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 弘 千葉大学, 医学部, 助教授 (20195374)
栗山 喬之 千葉大学, 医学部, 教授 (20009723)
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Keywords | 肺癌 / 腫瘍間質 / 線維芽細胞 / hepatocyte growth factor / vascular endothelial growth factor / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
ヒト肺小細胞癌株(Wa)とその間質線維芽細胞(W-fib)の相互作用について検討した。W-fibをfeederとして共培養した場合のplating efficiencyは、Waに比べ有意に亢進し、ヌードマウス皮下腫瘍形成でも、Wa単独接種に比べ、W-fibを同数混じて接種する場合では、腫瘍形成潜時の有意な短縮を認めた。以上より、in vitro、in vivoにおいて、Waの腫瘍形成に対し、その間質細胞であるW-fibは促進作用があると思われる。 次に、W-fibに、in vitroでβ-gal遺伝子を導入し、W-fibを特異的に染色同定できるように処理した後、WaとW-fibを混じでヌードマウス皮下に接種し、腫瘍形成過程における線維芽細胞の役割を形態的に観察することに成功した。腫瘍が島状に増殖し、β-gal陽性の線維芽細胞はそれを取り巻くように分布し、また腫瘍内の血管に沿ってもその分布が確認された。WaとW-fibの相互作用のメカニズムを解析する目的で、培養上清中の各種増殖因子をELISAにより測定した。共培養開始18時間後に、培養上清中のHGFは一旦著増し、48時間以内に消失した。HGFのピークに引き続き、VEGFが数日にわたって著増した。一方、Wa単独、W-fib単独培養では、HGF、VEGFとも検出されなかった。さらにHFGはW-fibから、VEGFは主にWaから産生されることが判明した。HGFに対するアンチセンスオリゴDNAを培養上清に添加することにより、VEGF産生、Waのplating efficiency の亢進効果がブロックされることが確認された。以上よりヒト肺癌細胞の増殖、腫瘍形成に、線維芽細胞は腫瘍間質としてin vitro、in vivoともに促進的に働くが、この作用にはHGF、VGEFのような増殖因子を介していることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Takiguchi,Yuichi: "Stable pulmonary capillary haemangiomatosis without symptomatic pulmonary hypertension."Thorax. (in press). (2001)
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[Publications] Mariya, Tetsuro: "Controlling malignant pericardial effusion by intrapericardial carboplatin administration in patients with primary non-small-cell lung cancer."British Journal of Cancer. 83・7. 858-862 (2000)
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[Publications] 渡辺励子: "肺癌の血清腫瘍マーカー"日本臨床. 58・5. 1070-1073 (2000)
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[Publications] MiyazAwa, Teruomi: "Implantation of ultraflex nitinol stents in malignant tracheobronchial stenoses."Chest. 118・4. 959-965 (2000)
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[Publications] 滝口裕一: "肺野末梢病変に対する、車載型ヘリカルCTの画像評価"肺癌. 39・6. 835-842 (1999)
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[Publications] 須田明: "原発性肺癌骨転移診断における血中I型コラーゲン-C-テロペプチド(ICTP)測定の有用性"呼吸. 18・3. 313-317 (1999)