2001 Fiscal Year Annual Research Report
精神分裂病におけるレセプター遺伝子多型性と抗精神病薬反応性の相関
Project/Area Number |
11670968
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Research Institution | Toho Unversity |
Principal Investigator |
中村 道子 東邦大学, 医学部, 助教授 (50180401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高松 研 東邦大学, 医学部, 教授 (90154898)
菅原 道哉 東邦大学, 医学部, 教授 (30226427)
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Keywords | 精神分裂病 / 異種性 / 5HTR2A遺伝子 / 若年発症精神分裂病 / 遺伝負因 / 環境要因 |
Research Abstract |
現在までの精神分裂病の遺伝学的研究により,分裂病の病因には異種性が存在すると考えられる。その異種性を考慮しながら,病因を解明していく必要がある。近年serotonin-dopamine antagonistが精神分裂病の治療薬として注目されており,精神分裂病の陰性症状とセロトニン受容体遮断作用との関係が注目されている。そこで今回我々は一等級親族に遺伝負因のある分裂病患者群(L(+)群)40名と健常対照群40名における5HTR2A遺伝子のexon1におけるポジション102のMspI制限酵素によるDNA多型(T102C多型と呼ぶ)について検討した。T102C多型には,C1,C2の多型が存在するが,L(+)群,健常対照群において各遺伝子頻度の有意差は認めなかった。従って,遺伝負因のある精神分裂病と5HTR2A遺伝子T102C多型との相関は認めなかった。 また分裂病の病因として遺伝要因のみではなく,環境要因も重要である。そこで若年発症精神分裂病患者群(35名)と成人期発症の分裂病患者群(35名)において,(1)患者母親の妊娠・分娩時の異常の有無(2)遺伝負因の有無(3)成人するまでの明らかな家庭内のストレスの有無(4)学校教育での明らかなストレスの有無について両群において調査し,若年発症精神分裂病の発症要因について成人発症群と対比し、検討した。その結果(1)若年発症群において母親の妊娠・分娩時の異常及び出生時の児の異常を5%レベルで有意に多く認めた。(2)遺伝負因の有無については若年発症群において明らかに多く認めたが,両群において統計学的有意差は認めなかった。(3)成人するまでの明らかなストレス(発症前の両親の離婚,明らかな不仲,不在,重症身体疾患)に関しては若年発症群に5%レベルで有意に多く認めた。(4)高校教育までの明らかなストレス(進学校,不登校,いじめなど)は若年発症群に有意(Pc<0.001)に多く認めた。またこれらの要因を全く持たない患者は成人発症群に有意に多く,3項目併せ持つ患者が若年発症群に有意に多く認めた。
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[Publications] 中村 道子: "抗精神病薬"医薬ジャーナル. 37. 77-82 (2001)
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[Publications] Sugawara M., Suzuki M., Watanabe S.: "Analysis of Muscle Activity in REM Sleep Behavior Disorder by Means of Polysomnography"Kitasato Med.. 31. 194-203 (2001)
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[Publications] 中村道子, 保泉美佐子, 中根晃, 鈴木二郎: "第1回日本国際精神障害予防会議論文集 私立中高等学校における精神科校医としての相談業務と役割について"星和書店. 2 (2002)