1999 Fiscal Year Annual Research Report
造血器腫瘍の染色体解析における染色体分染法に代わりうるSKY法の新たな応用・開発
Project/Area Number |
11671010
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
嘉数 直樹 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (20264757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 達生 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (60079746)
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Keywords | SKY法 / 造血器腫瘍 / 染色体解析 / multicolor-banding法 / microdissection |
Research Abstract |
SKY法は、染色体ペインティングプローブを用いている性質上、異なる染色体間の転座の検出には威力を発揮するが、同一の染色体内で起こる逆位や重複といった構造異常は、色調が変化せず検出することができない。また、転座染色体の由来は染色体単位では同定できても、バンド単位では決定できない。これらの限界を克服し、より精度の高い染色体解析を可能にするためには、染色体がG分染像と一致したバンド単位で、しかもおのおの異なる色調で識別・検出できる方法(われわれは、multicolor-banding法と名付けた)が最も理想的である。 microdissection法を用いれば、顕微鏡下で分裂中期染色体の特定のGバンドと一致した染色体領域を切り出し、ゲノムDNAを抽出・精製することが可能である。11番染色体に関しては、400バンドレベルの解像度において観察される13バンドのうち10バンドについて、バンド特異的なゲノムDNAが得られていた。このゲノムDNAをテンプレートにしたDOP-PCR増幅産物を波長域の異なる4種類の蛍光色素のいずれかを用いて異なる組み合わせで標識した。この10バンドのプローブを混合し、ヒト正常分裂中期染色体に対してハイブリダイズさせSKY法の原理にもとづいて解析した。その結果、10バンドともある程度、11番染色体のGバンドパターンに対応して、それぞれが異なった色調で検出されるカラー分染像を得ることができた。 次年度は、他の染色体についてもmulticolor-banding法を実用化し、さらに、造血器腫瘍の臨床検体の染色体標本に適用し、実際の染色体診断に有用であるかを検討していく予定である。
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[Publications] Kuroda,J.et al.: "Aggressive natural killer leukemia/lymphoma : A comprehensive cytogenetic study by spectral karyotyping"Annals of Hematology. (in press).
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[Publications] Zang,Y.et al.: "PEBP2alphaA/CBFA1 mutation in Japanese cleidocranial dysplasia patients"Gene. 244. 21-28 (2000)
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[Publications] Kakazu,N.et al.: "Combined spectral karyotyping and DAP1-banding analysis of chromosome abnormalities in myelodysplastic syndrome"Genes Chromosomes & Cancer. 26. 336-345 (1999)
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[Publications] 阿部達生、嘉数直樹: "「内科」目でみるバイオサイエンス"SKY法による造血器腫瘍の染色体異常の解析""南江堂. 2 (2000)
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[Publications] 嘉数直樹、阿部達生: "応用サイトメトリー第4章FISH法"医学書院(印刷中). (2000)