1999 Fiscal Year Annual Research Report
胎児期に発症する脳室周囲白質軟化症の発生メカニズムの解明に関する研究
Project/Area Number |
11671075
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
吉田 幸洋 順天堂大学, 医学部, 助教授 (90166950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 茂 順天堂大学, 医学部, 助手 (20296867)
新島 新一 順天堂大学, 医学部, 助教授 (20180557)
桑原 慶紀 順天堂大学, 医学部, 教授 (20010324)
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Keywords | 脳室周囲白質軟化症 / 脳性麻痺 / ECMO / 実験周産期学 / behavioral state |
Research Abstract |
出生前に発症する脳室周囲白質軟化症(PVL)の発生メカニズムの詳細は不明である。本研究では、出生前に発症するPVLのrisk factorの一つとされる変動一過性除脈の発生メカニズムに着目し、臍帯圧迫の初期の段階に認められる臍帯静脈からの血液還流量の減少と血圧低下がPVLの発生原因となるのではないかという仮説を設け、これを検証すべく子宮外保育中のヤギ胎仔を用いて実験をおこなう。本年度は初年度として、妊娠125日前後のヤギ胎仔を用いて子宮外保育実験を行い、安定した状態における各種生体情報(脳波、心電図、臍帯動脈血圧、総頸動脈血流量等)の採取・解析を行った。 その結果、子宮外保育中のヤギ胎仔の脳波は、高振幅期(HV期)と低振幅期(LV期)が繰り返し出現した。各生体情報の電機信号をサンプリング周波数300HzでAD変換し、ARモデルによるパワースペクトル解析を行ったところ、脳波ではHV期LV期ともに0.5〜4Hz(δ帯域)にピークが認められたが、LV期では、8〜13Hz(α帯域)にもピークが存在する二峰性パターンを呈することが明らかとなった。さらにLV期ではHV期に比較して、平均血圧が高く、また、血圧変動も大きいことが判明した。また、心電図のR-R間隔から計算した心拍数の周波数解析では、HV期では、副交感神経活動を反映するhigh frequency領域のエネルギーが大きかったが、LV期では、交感神経活動を反映するlow frequency領域にエネルギーが集中していた。以上のことから、妊娠125日前後の子宮外保育中のヤギ胎仔は、NREM期およびREM期(あるいは覚醒期)に一致したbehavioral stateを示すことが明らかとなった。 次年度以降は、静脈環流量を減少させる負荷実験を開始する予定である。
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