1999 Fiscal Year Annual Research Report
低リン血症性ビタミンD抵抗性くる病の病態における責任遺伝子の機能に関する研究-新しいリン調節系の探索-
Project/Area Number |
11671117
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田中 弘之 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (80231413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守分 正 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (40243505)
井上 勝 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (20253023)
清野 佳紀 岡山大学, 医学部, 教授 (80028620)
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Keywords | 家族性低リン血症性ビタミン抵抗性くる病 / Hypマウス / Phex / リン利尿因子 / ビタミンD |
Research Abstract |
ヒト家族性低リン血症性ビタミンD抵抗性くる病の病態を明らかにし、その新しい治療法を開発することを目的に、モデル動物であるHypマウスを用いて研究を行った。 生直後のHypマウスに野生型マウスの骨髄を移植する事によって、Hypマウスの全ての症状は改善した。この事から、骨髄細胞またはそこから分化してくる骨芽細胞が本来のPhex遺伝子産物の発現部位であり、十分な量の正常細胞はHypマウス体液中のリン利尿因子を失活させるに十分であることが判明した。さらに、ビタミンDに対する感受性の低下は骨髄移植によって亢進した24水酸化反応は正常化するのに対し1α水酸化反応は変化しないことから、24水酸化の亢進によって発生していることが考えられた。また、従来24水酸化の亢進は著しい低リン血症に付随する2次的なものと考えられてきたが、我々の成績はこれもまたPhex遺伝子産物の機能喪失の下流に存在するものであることを強く示唆する。 一方、体液中のリン利尿因子については現在の所不明であるが、我々はこれにアプローチするために、中性エンドペプチダーゼの阻害剤スクリーニングも同時に行った。この結果、Thiorphanが特異的にPhexの活性を阻害する可能性が示唆された。阻害スペクトラムからの類推よりPhexの天然基質であるリン利尿因子はエンケファリンと類似の構造を持つ可能性があると考えられた。
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