2001 Fiscal Year Annual Research Report
外科的侵襲におけるプロテアーゼ活性化受容体の機能解析
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11671239
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岩垣 博巳 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (50240867)
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Keywords | プロテアーゼ活性化型受容体 / セリンプロテアーゼ / トロンビン / トリプシン / PAR-1 / PAR-2 / DIC / 細胞増殖 |
Research Abstract |
セリンプロテアーゼ及びその受容休(プロテアーゼ活性化型受容体)の生体調節機能が、DICの病態形成に強く関与するとの発見を受け、外科的領域における同受容体の機能解析を企てた。まず、同受容体の発現細胞を用いてプロテアーゼによる受容体の切断を行い、N末端残基をアフィニティ・カラムにて抽出、精製。この精製ペプチドでウサギを免疫し、抗ペプチドポリクローナル抗体を作製した。これを用いて、ELISA法による切断ペプチドの定量実験を行った。活性化トロンビン量を間接的に定量する同法は、DIC並びに多臓器不全の早期診断法として活用できる可能性が示唆された。さらに、腫瘍細胞株各種を用い、周術期に分泌亢進する各種プロテアーゼが、同受容体を介して腫瘍病変そのものに与える影響について基礎的実験を進めた。ヒトグリオブラストーマでは、PAR-1を介しトロンビンのシグナルが細胞内に流れ、細胞の増殖及び形態変化を促進させること、ヒト大腸がんでは、PAR-2を介しトリプシンのシグナルが流れ、細胞の増殖が促進されることなどが明らかになった。また、シグナル伝達系については、細胞内カルシウム経路、PKCアイソザイム経路、MAPkinase経路等の関与が明らかになった。今後は外科領域の各種病態における同受容体の関与についてさらに研究を進め、ELISA法による同受容体切断の定量的測定、既存のプロテアーゼインヒビターの新たな応用法の確立、並びに新規プロテアーゼインヒビターのドラッグデザイン等、診断・治療の新しい指針の確立に着手していく予定である。
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