1999 Fiscal Year Annual Research Report
腰部脊柱管狭窄症における間欠跛行および神経圧迫症状の発現の病態解析
Project/Area Number |
11671451
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
高橋 啓介 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (90179482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇南山 賢二 埼玉医科大学, 整形外科, 助手 (20296247)
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Keywords | 腰部脊柱管狭窄症 / 間欠跛行 / 神経圧迫動態 / 圧測定 |
Research Abstract |
腰部脊柱管狭窄症例の間欠跛行の病態解析として、脊柱管狭窄部における歩行中の硬膜外圧(硬膜を圧迫する力)の変化を連続的に測定した。これにより歩行中は狭窄部位の硬膜圧迫力は一定ではなく上昇と下降を頻回に繰り返しており、歩行を中止し腰椎を前屈すると圧は直ちに下降することを明らかにした。また歩行サイクルと圧変化との比較検討で、この圧の変化は歩行中の腰部の動きにより生じていることも明らかにした。 次に歩行中の圧の上昇の程度が歩行状態でどのように変化するか、さらに圧変化と間欠跛行出現との関連性について検討した。その圧の上昇の程度は歩行中の腰部の姿勢により変化し、前屈位の歩行では圧の増加は少なく、通常の直立位の歩行では前屈位歩行に比較して有意に増加した。跛行出現距離も直立位歩行に比較して前屈位歩行では有意に延長した。歩幅については大股歩行では著名に圧は上昇し、小股歩行では圧の上昇は軽度であった。大股歩行では小股歩行に比較して跛行は早期に出現した。歩行速度が速くなると圧の上昇と下降のサイクルの頻度が増加し、歩行速度がゆっくりになるとこのサイクルの頻度は減少した。歩行速度が増加するのに伴って、歩行時間は短縮した。 本研究の結果から腰部脊柱管狭窄症における間欠跛行の発現は、歩行中の脊柱管狭窄部位の硬膜を介しての馬尾や神経根の圧迫の程度に関連していることが推測できた。つまり歩行中の神経組織への圧迫力が上昇すると跛行は早期に出現するのに対して、圧迫力が低いと跛行は出現し難くなる。本研究の臨床への応用として、間欠跛行の発現の予防には前屈位で歩幅を小さくまたゆっくり歩くことが重要であると考えられた。
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