2001 Fiscal Year Annual Research Report
腰部脊柱管狭窄症における間欠跛行および神経圧迫症状発現の病態解析
Project/Area Number |
11671451
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Research Institution | Saitama Medical School |
Principal Investigator |
高橋 啓介 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90179482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 泰幸 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (70327055)
平沢 洋一郎 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (60286086)
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Keywords | 腰椎 / 脊柱管狭窄 / 間欠跛行 / 硬膜圧 / 高齢者 / 姿勢 / 歩行 / 運動 |
Research Abstract |
腰部脊柱管狭窄症における狭窄部位の硬膜にかかる圧力を我々が独自に開発した方法で測定し、臨床症状と圧変化の関連を検討した。狭窄部位の硬膜への圧迫力は姿勢、歩行、体操などの腰椎の動きにより絶えず変化することを明らかにした。 姿勢では臥位で圧は最も低く平均18mmHgであった。同じく腰椎部での神経圧迫疾患である椎間板ヘルニアでは硬膜、神経根を圧迫する力は臥位では平均53mmHgであり、腰部脊柱管狭窄症では腰部椎間板ヘルニアに比べると臥位での圧迫力は低いことが明らかになった。 姿勢による圧迫力は座位では臥位の約2倍、立位では臥位の約4倍と変化した。最も高い圧は立位後屈で認められ臥位の約6倍と上昇する。しかし、立位でも前屈では後屈の約1/4に低下する。姿勢による硬膜への圧迫力の変化が症状の軽快や増悪に密接に関連していた。 間欠跛行例では歩行中に頻回な間欠的硬膜圧迫が生じており、この圧上昇の程度は歩行中の姿勢に関連していた。間欠跛行は直立位歩行では早期に出現するが、前屈位歩行では跛行出現距離は延長する。直立位歩行では圧は高く、前屈歩行では圧は低い。また大股歩行時には圧の上昇が最も高い。圧上昇程度が高いほど跛行は早期に出現した。圧が最も小さいのは腰椎を前屈位にして、歩幅を小さくしてゆっくりと進む歩行であった。 腰部脊柱管狭窄症では自転車駆動時には症状は誘発されない。その理由を本研究では明らかにすることができた。腰部脊柱管狭窄症例では自転車駆動時には狭窄部の圧は低く、歩行時にみられるような圧上昇も生じていなかった。 腰痛体操時に圧がどのように変化するのかを測定した結果では、腹筋や背筋の筋力増加運動時には圧が著明に上昇しており、腰部脊柱管狭窄症例においては体操療法による過度の負荷は脊柱管内の圧を上昇させ、逆に症状を誘発させる危険性があることが明らかとなった。
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