2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11671487
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Research Institution | Yamanashi Medical University |
Principal Investigator |
樫本 温 山梨医科大学, 医学部, 助教授 (60152633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯嶋 哲也 山梨医科大学, 医学部, 助手 (70324209)
小口 健史 山梨医科大学, 医学部, 講師 (60201399)
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Keywords | 神経因性疼痛 / c-fos / 部分神経損傷モデル |
Research Abstract |
現在、脊髄レベルでの神経因性疼痛の発生原因として、Aβ繊維の性質が器質的および機能的に変化すること(Aβ線維の発芽および新しい神経伝達物質の発現など)が現象として取り上げられているが、その分子生物学的機序は明らかでない。我々はこの神経の性質の変化つまり可塑性にc-fos遺伝子が何らかの形で関与しているものと考え、従来のラットではなくトランスジェニック個体が得られるマウスをその研究対象として選択した。神経因性疼痛モデルとして坐骨神経の部分神経損傷モデルを用いた。paw withdrawalの潜時を測定することでthermal hyperalgesiaを、von Freyフィラメントを用いてmechanical hyperalgesiaをそれぞれ行動学的疼痛評価を行った。その結果、我々の用いたStd:ddyマウスにおいても、Malemberg(1998)らが用いたC57BL/6マウスと同様に坐骨神経を絹糸で部分的に結紮することで神経因性疼痛のモデルとして使用しうることが示唆された。また、ラットより個体の小さいマウスを用いることで、免疫組織学的に脊髄の評価を行う場合にかかる標本の処理時間を短縮することができ、より効率的に器質的変化の評価を行うことが可能であることがわかった。また、ホルマリン試験の各段階c-Fos蛋白の発現量を経時的に測定した。その結果、侵害刺激受容の急性期であるホルマリン試験第1相ではその発現量は比較的少なく、炎症性疼痛であるホルマリン試験第2相において発現量が増加する傾向がみられた。現在、遺伝子レベルでのc-fos遺伝子の発現をin situ hybridizationによって,またc-Fos蛋白およびc-Jun蛋白に対する抗体を用いた金コロイド法による電子顕微鏡レベルでの脊髄の器質的変化の評価も併せて行い、更なる検索を進行中である。なお、c-fosノックアウトマウスによる検討は、その安定供給が困難なため、現在その安定供給およびc-fosノックアウトマウスによる疼痛実験系の確立を図り、通常マウスとの比較検討を行う準備段階である。
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