尿路性器各臓器における神経成長因子受容体の機能解析-タヒキニン含有神経,一酸化窒素合成酵素含有神経との比較検討-

1999 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 11671539
• Research Institution: Niigata University
• Principal Investigator: 筒井 寿基 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (20283012)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 波田野 彰彦 新潟大学, 医学部, 助手 (00242404)
• Keywords: 神経成長因子受容体 / 免疫組織染色 / 膀胱 / 前立腺 / 陰茎海綿体 / SubstanceP / NK-1受容体 / NK-2受容体

Research Abstract

今年度は免疫組織学的検討を行った。膀胱、前立腺、陰茎海綿体に対し、各種神経成長因子受容体に対する抗体とSubstanceP,NK-1受容体、NK-2受容体に対する抗体で免疫組織染色を行った。神経成長因子受容体では、膀胱と陰茎海綿体にはLNGFRが強く発現し、前立腺ではLNGFR,trkCの発現が強かった。膀胱では粘膜下にネットワークを形成するようにLNGFR陽性神経が豊富に存在し、また膀胱平滑筋層にもLNGFR陽性神経の発現が確認された。陰茎海綿体組織では海綿体平滑筋内にLNGFR陽性神経を豊富に認め、かつかなり太い神経束が確認された。また海綿体内の血管周囲にLNGFR陽性神経がみとめられた。前立腺ではLNGFRは間質組織内に陽性神経を認めた他に腺上皮細胞も陽性反応を示していた。前立腺腺上皮細胞については、trkB染色についても陽性反応を示した。trkC染色は前立腺間質組織で陽性神経と思われる繊維性構造が豊富に確認された。神経成長因子受容体は、前立腺においては組織の生存維持に関与するだけでなく、LNGFRとtrkBは腺分布にも関与している可能性が示唆された。膀胱におけるLNGFRは粘膜下組織に豊富に分布していたことより、膀胱の知覚求心性神経としての役割を担っている可能性が示唆された。一方、SubstanceP,NK-1受容体、NK-2受容体については膀胱と陰茎海綿体で染色を行ったが、発現を確認できていない。文献的にはNK-1受容体、NK-2受容体ともに存在するはずであるが、用いた抗体が良くなかった可能性もあり今後再検討の予定である。