2001 Fiscal Year Annual Research Report
表在性膀胱癌の再発、進展の予測因子としての血管新生因子の意義
Project/Area Number |
11671560
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
金武 洋 長崎大学, 医学部, 教授 (50100839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 滋 長崎大学, 大学院・研究科, 助教授 (20244048)
野俣 浩一郎 長崎大学, 医学部・附属病院, 講師 (80189430)
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Keywords | 表在性膀胱癌 / PD-ECGF / Angiogenin / 血管新生 |
Research Abstract |
これまでの表在性膀胱癌のPD-ECGFの発現と異型度に相関をみとめる報告を行ったが、さらにT1G3の表在性膀胱癌についてもPD-ECGF(platelet-derived endothelial cell growth factor)の発現と新生血管の有無を免疫組織学的に解析し、予後との関連について検討した。PD-ECGFの発現は8例にみとめそのうち7例が再発、または4例が進展した。一方非発現例7例は全例再発をみとめず。以上よりPD-ECGFの発現と予後との関連がみとめられた。しかし新生血管の指標となるCD34の発現との関連はなかった。また表在性膀胱癌20例について癌部と非癌部で組織内angiogenin濃度を比較検討した所、非癌部に有意に発現がみとめられた。しかし異型度、腫瘍径、腫瘍数、初発・再発、との関連はみとめなかった。以上によりangiogeninの表在性膀胱癌での生物学的意義は他の血管新生因子とは異なるものと思われた。 一方、膀胱癌に関する臨床研究も行われた。80歳以上の高齢者局所浸潤性膀胱癌に対する温存療法を、動注化学療法と放射線療法それぞれについて検討した。また表在性膀胱癌の術後再発防止を目的とし、EPI膀胱内注入療法の投与期間に関して多施設無作為試験を行ったが、12ヶ月投与と5ヶ月投与で予後に差をみとめず,短期間の投与で十分であることが推察された。また透析患者のCDDP抵抗性転移性尿路上皮腫瘍患者に対しPaclitaxelを投与し有効性と血中濃度について検討した。 さらに共同研究者の神田らは血管由来内皮細胞株を用いてこれを制御するシグナル伝達分子の解析を行った。
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[Publications] 野俣浩一郎他: "血液透析施工中のCisplatin抵抗性転移性移行上皮癌患者に対するPaclitaxel(TXL)療法における血中TXL濃度の経時的変化と副作用の発現について"癌と化学療法. 29(発表予定). (2002)
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[Publications] S.Li, K.Nomata, K.Sawase, M.Noguchi, S.Kanda, H.Kanetake: "Prognostic significance of platelet-derived endothelial cell growth factor/thymidine phosphorylase expression in pT1G3 bladder cancer"Int. J. Urol.. 8. 478-482 (2001)
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[Publications] K.Maeda, K.Nomata, M.Noguchi, H.Kanetake: "Angiogenin expression in superficial bladder cancer"Acta Urol. Jpn.. 47. 547-552 (2001)
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[Publications] 野俣浩一郎他: "80歳以上の高齢者局所浸潤性膀胱癌に対する温存療法の検討"西日本泌尿器科. 62. 344-347 (2000)
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[Publications] S.Kanda, E.C.Lerner, S.Tsuda, T.Shono, H.Kanetake, T.E.Smithgall: "The non-receptor protein-tyrosine kinase c-Fes is involved in FGF-2-induced chemotaxis of murine brain capillary endothelial cells"J. Biol. Chem.. 275. 10105-10111 (2000)
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[Publications] 神田 滋: "FGFとシグナル伝達"医学のあゆみ. 194. 745-751 (2000)
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[Publications] 野俣浩一郎, 野口 満: "泌尿器科腫瘍学入門 15接着分子と癌-ギャップ結合を中心に-"日本医学館. 266 (2000)