2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11671746
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
根木 昭 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00189359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 秀高 神戸大学, 医学部・附属病院, 助手 (20324931)
石橋 一樹 神戸大学, 医学部・附属病院, 助手 (20324923)
塚原 康友 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (20236855)
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Keywords | 網膜 / 硝子体 / 黄斑 / 内境界膜 / 後部硝子体剥離 |
Research Abstract |
黄斑部の接着は臨床的には網膜剥離の他、網膜上膜、浮腫や円孔の形成で障害される。病態解明が進むにつれて黄斑円孔については手術治療として人工的後部硝子体剥離の技術が導入され成果を上げている。我々が黄斑円孔連続110例について硝子体手術の有効性をみると90%で円孔の閉鎖、再接着が達成できた。しかし28%でかつて経験しない周辺視野狭窄をともなっていた。この視野障害は手術時の潅流ポートの位置に左右され、空気潅流圧を50mmHgから30mmHgへ下げることにより出現頻度は4%に低下したことから空気圧による機械的傷害が原因と推測した。この障害は検眼鏡的には術早期に網膜病巣としては発見されなかった。しかし継続的に観察すると8眼にRPEの色素異常や脈絡膜循環の遅延、網膜下線維性組織の形成、網膜上膜の形成などが徐々に出現した。検眼鏡的な病巣の出現には平均8ヶ月をようした。家兎眼に於いて硝子体手術を施行し人工的後部硝子体剥離を作成後50mmHgで空気潅流すると対側網膜に境界鮮明な類円形の陥凹病巣が走査電顕で確認された。病巣の辺縁では軽度に内境界膜が剥離したのみであったが中心部に至るほど障害は深層に及び神経線維層が露出している病巣もあり、一部には視細胞層やRPEにも障害は及んでいた。臨床的に見られた視野障害は液空気置換時の空気圧による事が初めて証明されまたその障害は程度により網膜深層にも及び、また進行性であることが確認された。近年硝子体手術の適応が拡大し、黄斑円孔のように面積的には大部分の網膜が健全である症例にも硝子体切除という眼内全域に侵襲をもたらしうる手術が適応される時代になった。少なくともこの健全部位には手術による障害をもたらさないように術中潅流圧に留意するとともに術後長期にわたる精細な検眼鏡的、機能的評価の重要性が確認された。
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