2000 Fiscal Year Annual Research Report
インプラント周囲組織の炎症防御機構-炎症時における歯周組織およびインプラント周囲組織の微小循環-
Project/Area Number |
11671823
|
Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
松尾 雅斗 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (30190416)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 和人 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (00084707)
岸 好彰 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (60084779)
齋藤 勝 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (70170529)
|
Keywords | インプラント周囲炎 / 微小循環 / 血管鋳型法 / 骨吸収 / SEM |
Research Abstract |
平成11年度に得られたの結果を基に、実験的炎症を惹起させその変化を形態学的に観察した。材料と方法:実験にはビーグル犬の前臼歯部を抜歯し90日間、歯槽骨の再生を待った。チタンインプラントを植立し、次いで歯肉に炎症を惹起させるために、実験動物の歯頚部にデンタルフロスを巻き90日間プラークを付着させ、この間プラークコントロールは行わなかった。この時点から30日、60日、90日後に血管内樹脂注入を行い、走査型電子顕微鏡(SEM)観察を行った。 結果:インプラント周囲炎に罹患した顎骨を血管鋳型標本としSEM観察した。インプラントの頸部にはデンタルフロスが残存し、その部分は歯石に覆われていた。本来インプラント周囲に密着する周囲組織は根尖方向に増殖しポケットを形成していた。そのため歯槽骨とインプラントは接触していなかった。インプラントを標本から取り外し骨表面をSEMで観察すると、骨表面の吸収部の中は拡張した扁平な血管網で満たされていた。骨吸収が進んだ部位では増殖した血管に置換された骨と接触していない部分が示された。この血管は骨の背後の歯槽骨骨髄の血管網を介して、骨表面吸収部中の血管と吻合していた。 考察:以上の結果から、インプラント周囲組織は人工的に堆積したプラークから容易に炎症に罹患し、軟組織の血管網は下方へと増殖していた。すなわち、炎症が生じると歯槽骨吸収部に侵入した肉芽血管とインプラント周囲の血管が吻合しながら骨吸収は進行していくことが観察された。これらのことから、インプラントを成功させるためには、インプラント周囲軟組織をインプラント体に密着させバリアーの機能と構造を保つ必要があることが示唆された。最も重要なのは、徹底したプラークコントロールで炎症を防止し、インプラント周囲軟組織の微小循環障害を起こさないことであることが推測された。
|
-
[Publications] Matsuo M: "Microvascular Changes After Placement of Titanium Implants : Scanning Electron Microscopy Observations of Machined and Titanium Plasma-Sprayed Implants in Dog."Journal of Periodontology. 70. 1330-1338 (1999)
-
[Publications] Matsuo M: "Microcirculation Changes and Bone Regeneration around Titanium Implants."The Bulletin of Kanagawa Dental College. 27. 142-152 (1999)
-
[Publications] Matsuo M: "Vascular Regeneration after Tooth Replantation with Application of Enamel Matrix Derivative (EMD)"Japanese Journal of Oral Biology. 40. 586-590 (1999)
-
[Publications] Matsuo M: "MICROVASCULAR ARCHITECTURE IN PERIIMPULANTITIS."Microcirculation annual 1999. 15. 77-78 (1999)
-
[Publications] Matsuo M: "Vascularization of an unsuccessful case following guided bone regeneration"Japanese Journal of Oral Biology. 42. 573-579 (2000)
-
[Publications] Matsuo M: "The microcirculatory function of mastication : SEM observation of vascular resin casts around dental implants and periodontal ligament."Acta Anatomica Nipponica. 75. 467-470 (2000)
-
[Publications] 岸好彰: "歯科インプラント"先端医療技術研究所. 7 (1999)