2000 Fiscal Year Annual Research Report
健康科学をめざして高齢者の咀嚼機能とライフサイエンスを探る
Project/Area Number |
11671960
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
西山 勝弘 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (20084783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野塚 実 岐阜大学, 医学部, 講師 (90084780)
小園 知 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (40084785)
熊田 秀文 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (60120995)
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Keywords | 加齢 / 咀嚼 / ラット / ヒト / 脳 / 海馬 |
Research Abstract |
咀嚼と脳の老化が密接に関連していることが示唆されている。今回我々は、咀嚼が高齢期の高次脳機能に及ぼす影響を検討した。【方法】実験には若齢期(2-3月齢)と老齢期(10-11月齢)の老化促進マウス(SAMP8)を用い、両側上顎臼歯を抜歯し、術後10日よりモリス水迷路テストを行い、未処置群と比較した。テスト終了後、抜歯群と未処置群を各々3群に分け、ホルマリン固定パラフィン包埋切片でのニッスル染色標本による海馬の神経細胞密度の計測と、4% paraformaldehyde還流固定後の遊離切片による抗GFAP抗体を用いた免疫染色、スライス標本の作製によるアストロサイトの膜電位と細胞外カリウムイオンとの関連を検索した。【結果】モリス水迷路テストで若齢期の抜歯群および未処置群において相違はみられなかったが、老齢期の抜歯群では未処置群に比べ明らかな学習能の低下が認められた。この老齢期の抜歯群では、海馬の神経細胞数の減少が観察された。また、GFAPの免疫染色によって老齢期の抜歯群にアストロサイトの肥大と増生が認められ、これに反し、若齢期および老齢期の未処置群での肥大したGFAP陽性細胞はみられず、ほぼ類似した所見を呈していた。さらに、海馬のスライス標本によって、老齢期抜歯群のアストロサイトでは細胞外カリウムイオンに対する感受性の低下が認められた。以上のことから、高齢期において咀嚼機能が障害をうけると、海馬の主機能である空間認知機能の減退、海馬のneuron lossおよびこれに伴うアストログリアの反応性の変化が誘発される可能性が考えられる。
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Research Products
(1 results)