2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11671967
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Research Institution | OSAKA DENTAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
権田 悦通 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (70066992)
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Keywords | ポーラス / インプラント / 組織反応 |
Research Abstract |
1.チタンを用いた同形状ポーラス・インプラント体の試作について検討した.チタン鋳造に用いるルツボには,マグネシアセメントを用いた.水素雰囲気中でチタンの高温鋳造には爆発の危険があるため,窒素雰囲気中での鋳造を試みた.鋳造時の冷却速度および窒素の圧力を調整することにより,ポーラスの大きさと方向性を検討した.しかし,窒素のみでは気体が金属中に溶け込まず,鋳造金属内に気泡を作ることは困難であった.また,鋳造時にルツボ成分がチタン表面に埋入し,鋳造後のチタン純度が低下した.そこで,溶解温度に変化を与え,鋳造欠陥とされる気泡を作り鋳造内にポーラスを形成した. 2.ポーラス金属に対する埋入初期の周囲組織反応を観察した. 実験動物にチタン体を埋入し,ポーラス内の組織構築の状態を観察を行った.観察した空孔径は150〜200μm,40〜100μmならびに8〜15μmとした.その結果,150〜200μmでは骨組織が陥入,40〜100μmでは骨様物質が埋まり,8〜15μmではコラーゲン線維が観察された. このように,鋳造で欠陥とされていた気泡を利用することにより,チタン鋳造内にポーラスを形成できることが示唆された.用いた通常の鋳造技法では,ポーラスの大きさと方向を揃えることは困難で鋳造体表面の金属純度も低下した.しかし,ポーラスの形態をコントロールし骨侵入の環境が調えることによって,機械的強度の問題や侵入する生体組織を特定などの問題を解決する可能性があると考える.今後,本研究を継続することによって骨量や骨活性に問題のあるケース,あるいは外科的侵襲を最小限に止める必要のあるケースなどインプラント難症例に対して安全に効率よく運用することが可能になることが期待される.
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