1999 Fiscal Year Annual Research Report
痛くない歯科治療に関する総合的研究―レーザーによる不顕性露髄時の歯髄の変化―
Project/Area Number |
11672054
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
後藤 譲治 長崎大学, 歯学部, 教授 (80085745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 一見 長崎大学, 歯学部・附属病院, 講師 (30240914)
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Keywords | 痛くない歯科治療 / レーザー / 不顕性露髄 / 歯髄の変化 / 病理組織 |
Research Abstract |
[目的] 無痛歯科治療の一環として,歯科用レーザーによる窩洞形成時に偶発露髄を惹起した場合の歯髄組織の病理組織学的変化を究明する目的で実験を行った。 [方法] 実験動物(成犬)にペントバルビタールの静脈麻酔を施した後,歯に対してEr;YAGレーザーを用いて,先端出力100mJ/pulse,10ppsに設定し,十分な注水下に,5級窩洞を形成した。次いで窩底部を穿孔し,露髄面を作成した。露出した歯髄表面を10%次亜鉛素酸ナトリウム,次いで3%過酸化水素水による洗浄の後,0.02%アクリノール溶液で洗浄した。その後実験群を1)そのまま放置したもの,2)水酸化カルシウム製剤カルビタールで直接歯髄覆罩の後酸化亜鉛ユージノールセメントで封鎖したもの,3)ライナーボンドIIレジンで直接覆罩し,クリアフィルAPXレジンで封鎖したもの,4)4-META/TBBレジン(オルソマイトスーパーボンド)にて封鎖したもの,の4群に分けた。術後14日及び30日間実験動物を飼育後,ペントバルビタールナトリウムの過剰投与により実験動物を虐殺した。実験歯を10%中性緩衝ホルマリンで固定後,硝酸エタノールで脱灰,パラフィンに包埋し,6μmの切片とし,H・E複染色を施し,顕微鏡下で観察し,歯髄組織の状態について比較判定を行った。 [結果] 実験群1)では,全例歯髄に壊死におちいっていた。実験群2)及び3)では,歯髄は修復に向かうものと炎症性の反応を示すものがほぼ同数であった。実験群4)では,大部分の症例は修復し良好な成績が得られた。 [考察] 水酸化カルシウム製剤を用いた実験群2)では良好な結果が得られたが,実験群2)及び3)に関してさらに症例数の追加と実験日数の延長を行い,結論を出したい。
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