1999 Fiscal Year Annual Research Report
医療従事者の手指汚染細菌の院内感染への関与に関する研究
Project/Area Number |
11672318
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
北目 文郎 山形大学, 医学部, 教授 (40004676)
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Keywords | 院内感染 / メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 / MRSA / DNA型別解析 / コアグラーゼ型 / PFGE |
Research Abstract |
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による院内感染の流行における医療従事者の関与の有無を明らかにする目的で,山形大学附属病院の5つの診療科(外科系3診療科および内科系2診療科)で1995年9月から1999年7月までの約4年間に分離された215株(患者由来;197株,医療従事者由来;18株)のMRSAの染色体DNA型、抗生物質感受性型およびコアグラーゼ血清型、並びにMRSA分離患者の疫学的背景に基づき,流行状況の把握を試み,以下の知見を得た。 1.215株のMRSAは34種のDNA型に分類されたが、この中の9型のMRSAが5つの診療科のどこかで流行を起こしており、5つの診療科の全てで4〜6種のDNA型のMRSAによる流行が発生(4年間の総数:24例)し、流行に巻き込まれていた患者と医療従事者の総数は134名に達していた。 2.特にDNA型がA1、A2、A4およびD1型のMRSAによる流行は、それぞれの型の同一クローンの株が診療科の垣根を越えて拡散し(5科で流行;A1、A4型、3科で流行;A2、D1型)、多くの患者を巻き込んだ規模の大きな流行であった。 3.本学附属病院におけるMRSAの流行には患者の転病棟やICU入室歴および医療従事者を介した起因菌の伝播が深く関わっていた疑いが認められ、MRSAの流行におけるこれらの背景に対する防止対策の見直しが当施設の課題として示された。 4.医療従事者がMRSAの流行にどのように関与していたのかについては不明であり、次年度の研究課題である。
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