1999 Fiscal Year Annual Research Report
褥婦と新生児の睡眠・覚醒リズムの変化と母児相互の同期に関する研究
Project/Area Number |
11672335
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
新小田 春美 九州大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (70187558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 ゆかり 九州大学, 医療技術短期大学部, 助手 (70304847)
三島 みどり 島根県立看護短期大学, 助教授 (20280125)
松本 一弥 東亜大学, 大学院, 教授 (80086602)
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Keywords | 睡眠・覚醒リズム / 睡眠日誌 / Actigraph / 妊娠・出産後経過週 / 睡眠パラメータ / 母児の同期 |
Research Abstract |
本研究は、出産を取り巻く母親および乳児の睡眠・覚醒リズムの変化を主として検討したものである。 本年度は、2つの研究を実施した。すなわち、その1つは出産前後の母親の睡眠・覚醒リズムの変化を睡眠日誌から明らかにすることと(研究1)今一つは、客観的な睡眠・覚醒リズムを判定できるActigraphを用いて出産前後の客観的な睡眠・覚醒リズムと睡眠日誌からの結果を比較することにあった(研究2)。 方法:研究1では、妊産婦(初産婦14名、経産婦12名)計26名に、妊娠33週から産後15週にわたって睡眠日誌(睡眠習慣、生活行動、心身自覚症状等を含む)を連続記録させると共に、一部の母親には今乳児の睡眠日誌もあわせて、毎日記入することを依頼した。26名の母親からは、延べ3,801日のデータが得られた。研究2では、初産婦3名、経産婦1名にActigraphを非利き腕に装着し、妊娠34週から分娩3カ月間にわたって連続記録した。 研究1の結果:出産後1〜7週にかけて夜間の全睡眠時間は著しく短縮し、また中途覚醒時間は顕著に増加したが、その後両者とも徐々に回復傾向がみられた。両パラメータとも妊娠33週に比して、出産後11週まで有意な短縮が認められた。特に、初産婦群の中途覚醒時間は、経産婦群より出産後2週〜6週にかけて有意に増加していた。初産婦群の全睡眠時間は、経産婦群より妊娠末期の週でやや延長していたが、出産後は全ての週で経産婦群より短縮傾向にあった。 研究2の結果:Actigraphから判定した母親の睡眠・覚醒リズムは、とくに出産後から約5週間で大きく乱れていたが、その後徐々に回復傾向が認められた。Actigraphと睡眠日誌より求めた全睡眠時間(r=0.81,p<0.001)、中途覚醒時間(r=0.71)などの睡眠パラメータには、いずれも有意な高い相関関係が認められた。 以上に結果より、出産後約6週頃までの夜間の睡眠時間は初・経産婦とも著しく短縮し、とくに初産婦で顕著であったが、出産後12週以降にはほぼ正常な睡眠・覚醒パターンに復帰するものと推測された。これらは新生児の授乳リズムないしは睡眠・覚醒リズムが昼夜リズムに同調していくことと関連しているものと推測された。今後、さらに、測定例を増やすと共に、新生児の睡眠・覚醒リズムの確立過程や母児の睡眠・覚醒リズムの同期性について検討していく予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shinkoda H,Matsumoto K,and Park YM:: "Changes in sleep-wake cycle during the period from late pregnancy to puerperium identified through the wrist actigraph and sleeplogs."Psychiatry and Clinical Neurosciences. 53. 133-135 (1999)
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[Publications] 新小田 春美、松本 一弥、姜 旻廷、三島 みどり上田 たか子: "睡眠日誌からみた妊娠末期から出産後における母親の睡眠・覚醒パターンの変化"日本睡眠学会第25回学術集会. (in press). (2000)