2001 Fiscal Year Annual Research Report
脳神経外科患者の頭蓋内圧に及ぼす看護ケアの検討―クリティカルケア技術の確立―
Project/Area Number |
11672365
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Research Institution | Kobe City College of Nursing |
Principal Investigator |
川西 千恵美 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (40161335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 しおり 神戸市看護大学, 看護学部, 講師 (70254480)
高柳 智子 福井医科大学, 医学部・看護学科, 助手 (90313759)
伴 貞彦 神戸市看護大学短期大学部, 教授 (80300359)
山下 裕紀 神戸市看護大学, 看護学部, 助手 (40326319)
登喜 和江 神戸市看護大学, 看護学部, 助手 (00326315)
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Keywords | 頭蓋内圧 / 脳室ドレナージ / 看護ケア / 腹部マッサージ / リハビリテーション / 気管内吸引 |
Research Abstract |
脳室ドレナージまたは脳糟ドレナージ挿入中の患者に対する看護ケア実施中の頭蓋内圧を測定し、看護ケアの方法別による圧変化を明らかにする研究を実施した。その看護ケアとは、便秘時に排便を促す看護ケアとリハビリテーション、気管内吸引である。排便を促す看護ケアは腹部マッサージ、腰背部温罨法、グリセリン洗腸、摘便の4方法で、リハビリテーションはマッサージと四肢の他動・自動運動である。 脳神経外科手術後で脳室ドレナージまたは脳糟ドルナージ挿入中の患者に対して便秘時(3日間排便がない状態)に排便を促す看護ケァを実施した。それぞれ4方法の看護ヶア実施中の患者の頭蓋内圧をベントリックス・カテーテルを使用して、ベントリックスモニターで自動測定を行い、自然排便または緩下剤投与にて排便の見られた時をコントロールとして頭蓋内圧を測定し、比較を行った。研究に同意の得られた対象は7名であった。 その結果、頭蓋内圧が正常値で安定していた患者では腹部マッサージ、腰背部温罨法は頭蓋内圧のほとんど上昇はなかった。グリセリン洗腸時も瞬間的に平均10mmHg上昇したがすぐにコントロール時に下降した。摘便時は平均20から30mmHgの上昇が見られ、実施中、平均3分間から5分間コントロール時より上昇していた。 次に、リハビリテーションは、3名の患者に行った。腹部を圧迫するような下肢の他動運動を実施した時には頭蓋内圧は最も上昇し、20から30mmHg上昇が見られたが、運動を中止すると直ちに運動前の状態に戻った。そのほかのマッサージや上肢の運動時にはほとんど上昇しなかった。リハビリテーションをより安全に行うためにはもっと症例数が必要であるが、今後もこのモニタリングを実施しながら行うことはより安全な看護につながると考えられる。 気管内吸引では特定の看護者によって実施される吸引圧と、吸引時間および、呼吸状態の改善状況と頭蓋内圧との関係を把握する予定であったが、今回は気管内吸引を必要とした患者の対象者はなく、また参加協力がえられなかったため今後も継統する予定である。 以上より排便ケアでは、摘便が最も上昇し、次に洗腸であったが、腹部マッサージ、腰背部温罨法は頭蓋内圧の著しい上昇はないことがわかった。
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