2000 Fiscal Year Annual Research Report
臨床試験での癌患者の共同意思決定を促すための行為研究
Project/Area Number |
11672393
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
稲吉 光子 北里大学, 看護学部, 助教授 (60203212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 優子 神戸大学, 医学部・保健学科, 助教授 (90152941)
遠藤 恵美子 北里大学, 看護学部, 教授 (50185154)
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Keywords | がん臨床試験 / 危険の予測・回避 / リサーチナース / 意思・決定 / アクションリサーチ / KJ法 / 被験者教育プログラム / 内省実践 |
Research Abstract |
研究目的は、がん臨床試験での危険の予測と回避のために、リサーチナースの人間関係と意思決定の困難さを行為研究(action research)から明らかにすることである。期間は1999年9月から2000年7月であった。1999年4月に開設された、東京近郊の病床数約1,000床の大学病院治験管理室が選ばれた。その治験管理室に1人のリサーチナースが配属されていた。 リサーチナースと研究者は1週間から2週間に1回の割合で、定例会を持ち、各自で筆記記録した。研究者は自己内省による日誌を書き、定例会に反映させた。データは筆記記録と日誌から得られた内容として、分析にはKJ法が用いられた。KJ法は、人類学者の川喜田二郎により開発された質的データの分析方法の1つである。 結果は3つの内容に集約された。それらは「不安定な人間関係の中での臨床試験の基盤の支持」「不十分な感覚情報」「コントロール感の低下」であった。影響していたのは、被験者の体験を言語化する能力、治験ナースの情報量、そして、被験者個人の利益と社会利益(治療法の発見や医学知識の増加)の選択の苦悩であった。危険の予測と回避には、リサーチナースと被験者への教育プログラムが必要と思われる。被験者のプログラムは通常の患者教育と異なり、体験や出来事を言語化する技能を習得する内容である。一方、リサーチナースのプログラムはコントロール感の低下に気づく、内省による看護実践の内容である。
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[Publications] 稲吉光子: "がん看護学"Quality Nursing. 6(4). 21-24 (2000)
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[Publications] 稲吉光子: "がん看護研究方法としての行為研究:文献検討"第15回日本がん看護学会学術集会・講演集. 109 (2001)
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[Publications] 稲吉光子: "今日のことば:行為研究(action research)"がん看護. 6(2)(印刷中). (2001)
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[Publications] 小島操子,佐藤禮子 (編): "看護のコツと落とし穴 7.がん看護・ターシナルケア"中山書店. 168 (2000)