2000 Fiscal Year Annual Research Report
短時間・高強度運動時および回復期の二酸化炭素過剰排出
Project/Area Number |
11680010
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
矢野 徳郎 北海道大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (80200559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平木場 浩二 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (70173226)
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Keywords | 乳酸 / CO_2過剰排出 / 高温条件 |
Research Abstract |
生体の恒常性維持機構は生体内の色々な状態をある一定に保つということであろう。その中でも体温の維持は大切な調節因子の一つである。外気温の変化に関わらず、体温を一定に保てるということは、行動が恒常的に行えることと関連する。ただし、運動を行うと体温は上昇する。これは、運動に対する一過性の反応である。 本実験では、外気温の異なる条件下で運動を行った。このことは、運動に対する一過性の反応が外気温によって、影響を受けるか否かを検討することになる。本実験では、この変化を心拍数からみた。それは、高温下の運動では、皮膚血流量を増すことによって、運動で生じた熱を放出しているので、それに応じて心拍出量が増加すると考えたからである。また、この体温調節がpHの調節に影響しているか否かを検討した。それは次の理由からである。運動時の体温の恒常性維持には循環動態へ影響を与えるが、pHの恒常性維持には呼吸へ影響する。もし、運動時に酸素供給系として密接な関連がある呼吸と循環との間に、相互作用があるのであれば、pHの調節へも、外気温の影響が出ると考えたからである。 その結果、心拍数は高温条件下の回復時で有意に高い値であった。しかし、肺換気は温度条件による差異は認められなかった。そのためにCO2過剰排出量も両条件下で差異は認められなかった。心拍数のこの上昇は体温調節に伴う皮膚血流量の上昇に応じて心拍出量が増加しために生じたものと考えられる。これは、循環系が内部環境の体温の維持に対して働いているために生じたと考えられる。しかし、呼吸は内部環境のpHの恒常性維持と関連しているので、変化しなかったものと考えられる。したがって、この程度の温度差では、恒常性維持機構のpHと体温維持とは独立になされていると考えられた。また、CO2過剰排出量にも影響がなかった。
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