1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11680017
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 茂 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (50092367)
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Keywords | 筋肥大 / インスリン投与 / ミオシン重鎖 / 筋重量 / ATPase染色 / 筋線繊維型 / 腱切除 / マウス |
Research Abstract |
薬物の骨格筋肥大に対する影響について研究をすすめている。最近ドーピング薬剤として指定され、話題になっているインスリンの筋肥大に及ぼす影響について実験を行った。特にインスリンの速筋と遅筋の成長に及ぼ影響と運動に伴う筋肥大に及ぼす影響について検討した。実験には5-6週齢のddyマウスを用いた。インスリンはSigma社製のNo.I-5500を用いた。一回の投与量は4Uとし、腹腔に投与した。運動負荷法には代償性負荷による腱切除法を用いた。負荷期間は一週間とした。実験は、正常グループ、インスリン投与グループ、腱切除グループ、腱切除+インスリン投与グループの四グループに分けて行った。実験終了後、体重とヒラメ筋と足底筋の重量を測定した。また筋タンパク質の組成の違いを観察するために筋を液体窒素で粉末にしたものをSDS-電気泳動及び二次元電気泳動法で展開した。実験の結果、正常グループとインスリン投与グループのヒラメ筋と足底筋の重量を比較すると足底筋の重量はインスリン投与グループで統計的に有意に高い値を示した。運動負荷に対する影響を観察すると腱切除グループで代償性負荷を受けたヒラメ筋と足底筋の重量は統計的に有意に増加した。また腱切除+インスリン投与グループにおいてもヒラメ筋と足底筋の重量は統計的に有意に増加した。しかしながら両グループの増加量には有意な差は見られなかった。電気泳動による筋タンパク質のパターンはほぼ同じようであったが代償性負荷によってそのパターンにいくつかの違いが見られた。特に、インスリン投与によりミオシン重鎖の発現に違いが見られ、遅筋であるヒラメ筋でタイプIIBのミオシン重鎖が観察された。さらにATPase活性染色での組織学的観察ではタイプII繊維の割合の増加が観察された。このように、明らかに薬物であるインスリン投与の影響が観察された。
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[Publications] 山田 茂: "インスリン投与が筋肥大及び筋腺維型に及ぼす影響"臨床スポーツ医学. (発売予定).
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[Publications] 山田 茂: "インスリン投与がヒト筋細胞の成長に及ぼす影響"臨床スポーツ医学. (発売予定).
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[Publications] 山田 茂: "運動と生体諸機能(森谷敏夫 編)"ナップ社. 254 (1999)