1999 Fiscal Year Annual Research Report
生物学的手法による紫外線遮蔽加工製品の評価法の開発
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11680103
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
山野 春子 お茶の水女子大学, 生活科学部, 助手 (90242338)
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Keywords | 紫外線 / オゾン層 / 皮膚障害 / 皮膚癌 / 癌抑制遺伝子 / アポトーシス / 紫外線遮蔽加工製品 / 紫外線遮蔽効果 |
Research Abstract |
近年、フロンガスによるオゾン層の急速な破壊が進んだ結果、有害な紫外線が地表に到達するようになり、皮膚癌をはじめ様々な皮膚障害が増加するなど、生体に及ぼす影響が憂慮されるようになってきた。これに呼応して、衣料品や化粧品、ガラス等の紫外線遮蔽加工製品が開発されてきたが、これらの遮蔽効果の評価法は主として、光学的測定法が用いられている。唯一、人体への影響が比較的よく評価できると考えられる評価法として、被験者の皮膚を使うSPF法が行われている。しかし、光学的測定法は人体に対する影響の評価法として必ずしも適切であるとはいいがたく、SPF法は被験者の皮膚を使うために、照射条件によっては被験者が危険に曝露される可能性もあり問題が多い。このような状況を踏まえて、被験者を使わずに生体への影響をよく反映できる評価法の開発を検討してきた。 前年度までに、生体の代謝に不可欠な酵素の活性変化を利用した、生化学的手法の導入による測定法の開発を行なった。今年度は、人体の状態にできるだけ近似した測定系の導入による評価法の開発を目指し、皮膚をはじめヒト由来の培養細胞を用いる方法を計画した。数種類の培養細胞株に紫外線を照射し、形態変化や増殖速度を観察、測定し、紫外線に感受性の高い細胞株を選定するとともに、p53癌抑制遺伝子が産生するタンパク質の変化を、免疫学的手法を用いて測定した。培養細胞中のp53タンパク質を酸素抗体法により染色し、本年度の研究補助金により購入した、顕微鏡用ポラロイドカメラにより測定、記録する方法を検討した。p53細胞周期の制御や細胞のアポトーシスに重要な役割を担っており、紫外線の生体への影響をよく反映すると考えられるため、この測定法の確立を目指し、さらに詳細を検討中である。
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