1999 Fiscal Year Annual Research Report
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11680126
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Research Institution | Tamaki Women's Junior College |
Principal Investigator |
寺田 貴子 玉木女子短期大学, 被服学科, 助教授 (00141804)
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Keywords | 貝紫 / ティリアンパープル / ジブロムインジゴ / インジゴ / 還元染色 / 建て染め / アクキガイ / アカニシ |
Research Abstract |
今年度は,西日本の各地で貝を収集して色素の調整と分析を行い,以下の成果を得た。 1.貝の収集 (1)アクキガイ科の貝は,島根,鳥取,山口,福岡,佐賀,長崎,熊本,沖縄の8県で,採集あるいは購入することができた。 (2)島根県から福岡県にかけての磯にはイボニシの生息が確認できたが,個体数は少なかった。九州を南下するほどにアクキガイ科の貝の種類と個体数が増えた。沖縄県ではイボニシとアカニシは採集できず,また,本土には生息しない種類が多かった。長崎県ではイボニシは年間を通じて入手できたが,アカニシは激減してきた。 2.色素の調整と分析 (1)貝を割って鰓下腺をピンセットで摘み出し,一個体づつ直射日光下で発色した。発色後は貝の種類や産地,雌雄の別等で分類し,乾燥して密閉容器に保管した。 (2)アクキガイ科の貝には貝紫を呈するジブロムインジゴの他に青色のインジゴ,赤色のインジルビンなどの色素が含有されていたが,色素の種類は貝の種類によって,また色素の含有量や比率は貝の産地(棲息場所)によって大きく異なっていた。 現在,種々の貝から得た色相の分析を行っている。次年度は,貝の種類や染色方法の違いが発色性に及ぼす影響を検討する予定で,これらの成果とこれまでの知見に基づいて,貝紫の発色性をより明確にする計画である。
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