2001 Fiscal Year Annual Research Report
障害児における書字指導プログラムの作成に関する基礎的研究
Project/Area Number |
11680255
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
大庭 重治 上越教育大学, 学校教育学部, 助教授 (10194276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
惠羅 修吉 上越教育大学, 学校教育学部, 助教授 (70251866)
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Keywords | 障害児 / 書字 / 学習 / 筆圧 |
Research Abstract |
発達初期にある子どもの中には,筆記用具の使用において適度な筆圧を加えることができない子どもがいる。本研究は、筆圧の分析を中心として,このような子どもに適応可能な指導プログラムについて検討した。特に本年度は、幼児の筆圧に関する基礎データを参考にしながら,運筆における利き手と視覚情報の役割について検討を深めた。その結果,利き手と運筆機能との関係については,左利き児童の中にも,固有の筆圧が高く、またその変動が大きい者が存在したり,意識的な筆圧の調整が求められた際に,過度な調整がなされる者がみられた。これらの被験者は,書字学習において特に困難を示していた児童ではないものの,固有の筆圧が高いことにより手指の疲れが生じ,学習効率の低下を招いている可能性が示唆された。その原因を明らかにするためには筆圧の改善過程を検討する必要があるが,いずれにしても教室における一斉指導においては,左利きの児童にも配慮した書字指導方法のさらなる工夫が求められていることが示された。また,視覚情報と運筆機能との関係については,全盲の点字使用者において,固有の筆圧における最大筆圧値や力積値が低い傾向を認めた。すなわち,これらの生徒においては,レーズラィターを使用する際に適度な強さの筆圧が得られない可能性があり,学習の補助手段として有効に活用できない場面が想定された。しかしながら,筆圧強度を上げることを求めた際には,それに伴う変化を認めることができ,学習時の運筆の改善に言語教示による働きかけを用いることの可能性が示唆された。ただし,全盲の点字使用者においては、最大筆圧値及び力積値に表現された過度の調整も観察されており,描画時に必要以上の作業が行われている場合が予想された。したがって,筆記用具の把握形態の改善指導など,他の方法を併用した指導が必要であることが示された。
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