1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11680534
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
松田 義弘 東海大学, 海洋学部, 教授 (80056100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金沢 延幸 新日本気象海洋株式会社, 数値解析部, 主査研究員
横地 洋之 東海大学, 海洋研究所, 助教授 (70119709)
佐藤 義夫 東海大学, 海洋学部, 教授 (70056315)
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Keywords | マングローブ / 環境評価 / 光合成 / 付着藻類 / 力学特性 / 樹木抵抗 / 潮汐流動 / 貧酸素 |
Research Abstract |
本年度(1999年度)は、当初の計画に従って、R型とF型のマングローブ域での現地調査と数値実験を実施し、以下の定量的知見を得た。 R型のマングローブ域における潮汐周期の海水流動に関して、以下のカ学的特性が明らかとなった。(1)swampの潮汐流速はcreekに比べて1桁小さい;(2)swampでは、運動方程式を構成する圧力勾配項は加速度項、移流項に比べて2桁以上大きい;(3)swampにおける圧力勾配項はcreekでの圧力勾配項に比べて2桁以上大きい:(4)creekでは圧力勾配項、加速度項、移流項の値の間にほとんど差が見られない。上記の結果は、swamp内の潮汐スケールの海水運動に関しては、圧力勾配と流体抵抗が準静的に釣り合っていることを示しており、これはさらにswamp内の樹木や地上根による流体抵抗係数の重要性を意味している。 一方、F型のマングローブ域においては、樹林内の溶存酸素は、(1)潮汐による外海からの供給;(2)光合成による生成;(3)底泥等による消費;(4)樹林内の水面の乱れによる供給;(5)降雨による供給で大きく変動することが確認できた。特に、底泥上の微細藻類による光合成速度は底泥の酸素消費速度(26mgO_2/m^2/h)に比べてはるかに小さいことがわかった。地上根の付着藻類による光合成速度は、W=nl/(1+ml)(W:光合成速度;単位はmg O_2/m^2/h,l:光量子量;単位はW/m^2)においてm=0.06、n=6.52(単位は省略)となった。これによると、樹林内の平均光量子量(10W/m^2)では光合成速度は41mgO_2/m^2/hとなる。一方、地上根の付着藻類による呼吸速度は、この値の1/2ほどとなり、無視できないことがわかった。 樹林内の溶存酸素の変動要因を潮汐、太陽放射等の物理過程を考慮して定量的に分離する数理モデルに上記の知見を組み込み、実用化のために精度の向上をはかることが来年度以降の課題である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y. Mazda, N. Kanazawa and T. Kurokawa: "Dependence of dispersion on vegetation density in a tidal creek-mangrove swamp system"Mangroves and Salt Marshes. 3・1. 59-66 (1999)
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[Publications] Y. Mazda, M. Magi, H. Nanao, M. Kogo, T. Miyagi, N. Kanazawa and D. Kobashi: "Coastal erosion due to transition of mangrove system"Land-Ocean Interactions : Managing Coastal Ecosystems. 3. 1555-1564 (1999)