2000 Fiscal Year Annual Research Report
黒質-線条体ドーパミン神経回路形成時における軸索ガイドの分子機構の解明
Project/Area Number |
11680739
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
松下 夏樹 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (40271556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 和人 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90211903)
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Keywords | ドーパミンニューロン / GFP / トランスジェニックマウス / 軸索ガイダンス / 器官培養 / 神経発生 / チロシン水酸化酵素 / イメージング |
Research Abstract |
黒質-線条体ドーパミン神経回路形成時における軸索ガイドの分子機構を解析するにあたり、リアルタイムに軸索ガイドを観察できる簡便かつ効率的なモニター系を確立することを目的に、ラットのチロシン水酸化酵素(TH)遺伝子上流のプロモーター領域の下流にGleen Fluorescent Protein(GFP)を連結した導入遺伝子(TH-GFP)を有するトランスジェニックマウスを作製した。成熟したTH-GFPマウスの脳切片の蛍光観察をおこなうと、黒質、腹側被蓋野、視床下部、嗅球をはじめとするドーパミンニューロン、青斑核、孤束核などのノルアドレナリンニューロンが強いGFP蛍光を有することが観察され、そのGFPの発現は中枢カテコールアミンニューロン特異的であることが確認された。また、TH-GFPマウス胎仔個体を蛍光実体顕微鏡下で観察すると、中脳腹側領域に発生するドーパミンニューロンをGFP蛍光で検出することができ、詳細な解析によって、TH抗体で染色される発生中のドーパミンニューロンの大部分が強いGFP蛍光をもつことが観察された。 TH-GFPマウスを利用した胎仔脳の展開培養系にて中脳ドーパミンニューロンの発生誘導、軸索伸長の様子を観察したところ、時間経過を追ってドーパミンニューロンが中脳腹側領域に発生誘導される様子をリアルタイムに検出することができた。また、GFP蛍光によってドーパミンニューロンの軸索の先端まで検出することができ、胎仔脳の展開培養系でドーパミンニューロンの軸索が吻側方向に伸長する様子を容易に観察することもできた。ここでの胎仔脳の展開培養系は神経管の背腹軸と前後軸を維持しており、発生過程にみられる空間的制御を観察できる培養系である。さらにドーパミンニューロンをGFP蛍光で可視化したTH-GFPマウスを利用することでリアルタイムに軸索ガイダンスをモニターすることが可能となった。すなわち、本研究によって、我々の目的とした黒質-線条体ドーパミン神経回路形成時における軸索ガイドの空間的、時間的制御を効率的かつ簡便にモニターする解析系を確立することができた。
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