1999 Fiscal Year Annual Research Report
創傷治癒効果を有する生理活性物質含有人工皮膚の開発
Project/Area Number |
11680844
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
黒柳 能光 北里大学, 医療衛生学部, 助教授 (80170140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 正英 北里大学, 医学部, 助手 (20227177)
山下 理絵 北里大学, 医学部, 助手 (10230434)
山田 直人 北里大学, 医学部, 講師 (80230465)
佐藤 明男 北里大学, 医学部, 助手 (80255356)
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Keywords | 創傷治癒 / 生理活性物質 / ヒアルロン酸 / 人工皮膚 |
Research Abstract |
現在、難治性皮膚潰瘍の治療にはアクトシン軟膏が使用されている。この軟膏にはジブチリルサイクリックAMP(DBcAMP)が含まれており、この物質は治癒を促進する作用をもつ。しかしながら、軟膏にる治療は頻繁に包帯交換を必要とする。そこで、本研究では創傷治癒促進効果をもつ生体材料であるヒアルロン酸に着目し、ヒアルロン酸のスポンジに生理活性物質であるDBcAMPを含有する人工皮膚の開発を進めている。 ヒアルロン酸のスポンジは、水溶性エポキシ化合物で分子間架橋した上層と未架橋の下層からなる2層構造をもつ。ラット背部に全層皮膚欠損創を作成して、EOG滅菌したヒアルロン酸スポンジを貼付し、さらにDBcAMP水溶液を含浸させて市販のポリウレタン膜製被覆材で被覆保護して包帯固定した。対照実験として、ヒアルロン酸スポンジ単独使用および市販のアルギン酸カルシウム塩不織布の創傷被覆材を使用した。創面積の変化と肉芽組織形成に関して、肉眼的ならびに組織学的に治癒効果を評価した。アルギン酸カルシウム塩不織布の創傷被覆材を適用した場合は、材料が創傷面に残留するため創面積の減少と肉芽組織形成が物理的に抑制される結果となった。これに対して、ヒアルロン酸スポンジ単独使用の場合は、材料の残留は認められず、良好な肉芽組織が形成され、それに伴う創面積の減少が観察された。ヒアルロン酸スポンジにDBcAMP水溶液を含浸させた場合には、さらに良好な血管新生に富む肉芽組織が形成され、それに伴う創面積の顕著な減少が観察された。この研究成果はJ.Biomater.Sci.Polymer Ed.に投稿する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 黒柳 能光: "人工皮膚の開発:創傷被覆材と培養皮膚(総説)"人工臓器. 28. 24-35 (1999)
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[Publications] Yoshimitsu Kuroyanagi: "[Review] Advances in wound dressings and cultured skin substitutes"J. Artif. Organs. 2. 97-116 (1999)
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[Publications] 黒柳 能光: "ドレッシングの最前線;生体ドレッシング材と生長因子"へるす出版(臨床看護)分担. 235(7) (1999)