2001 Fiscal Year Annual Research Report
北極エアロゾルとオゾン・雲との相互作用およびその気候影響に関する研究
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11691138
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Research Institution | Natiomal Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
山内 恭 国立極地研究所, 南極圏環境モニタリング研究センター, 教授 (00141995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遊馬 芳雄 北海道大学, 大学院・理学研究科, 講師 (10183732)
塩原 匡貴 国立極地研究所, 南極圏環境モニタリング研究センター, 助教授 (60291887)
和田 誠 国立極地研究所, 研究系, 助教授 (40132716)
原 圭一郎 国立極地研究所, 研究系, COE非常勤研究員
山形 定 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80220242)
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Keywords | エアロゾル / 北極ヘイズ / 放射強制力 / 内部混合 / 気候影響 / 極低気圧(ポーラーロー) / 極渦 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
北極域における対流圏エアロゾル、特に「北極ヘイズ」の特性や挙動を調べ、放射に対する役割、さらには雲の生成過程やオゾンの消滅過程におよぼす影響を明らかにすることを目的として、今年度は下記の計画を進めた。 (1)北極対流圏エアロゾル・放射総合観測(ASTAR2000:Arctic Study of Tropospheric Aerosol and Radiation)のデータ解析を進めた。エアロゾルの光学的厚さが0.1以上と大きい場合をヘイズと定義したが、鉛直分布においても、濃いエアロゾル層が見られた。トラジェクトリー解析からはエアロゾルはシベリア域を発生源とし、北極海を短期間通過して北ないし北東から及んでいることが示された。化学組成は硫酸エアロゾルを主体としてススの割合も高い層も見られた。一方、光学的厚さが0.06以下の場合はバックグラウンドと定義し、春季以外は多くの割合を占めている。この場合のトラジェクトリーはグリーンランドを越え北極海を巡って遡っている。組成からは大きな違いは見えないが、ススが硫酸エアロゾルに取り込まれた内部混合の状態が顕著にみられることが特徴であり、輸送経路と併せ、長期間北極海域に滞留していたものと考えられた。観測された北極ヘイズの光学特性を北極気候モデルに組み入れたところ、その放射強制力は場所により異なり、大きいところは数度/日の昇温が現れた。 (2)雲・擾乱の観測として、スバールバルとノルウェー本土の中間にある小島、ベアーアイランドにて行われているレーダ観測と対比して、スバールバル、ニーオルスン観測基地にてレーダ、降雪粒子、マイクロ波放射計観測を継続した。極低気圧を含む擾乱の発達過程を捕らえるデータが取得できた。 (3)北極海横断航空機大気観測(AAMP 02)、2002年3月、に参加した。双発ジェット機にサンフォトメータやエアロゾル測定器を搭載し、北極海上空の成層圏で極渦内外の水平分布や、アラスカ・バロー地域やスバールバル近傍での成層圏までの高度分布を取得した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Asuma, Y., N.Ogitani, M.Wada: "Radar echo characteristics at Ny-Alesund, Spitsbergen Island and Arctic storms over the Norwegian Sea."Extended Abstract of Second Wadati Conference on Global Change and the Polar Climate, Tsukuba, Japan. 166-168 (2001)
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[Publications] Hara, K., K.Osada, K.Matsunaga, T.Sakai, Y.Iwasaka, K.Furuya: "Concentration trends and mixing states of particulate oxalate in Arctic boundary layer in winter/spring"J.Geophys.Res.. 107. Printing (2002)
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[Publications] Hara, K., K.Osada, K.Matsunaga, Y.Iwasaka, T.Shibata, K, Furuya: "Atmospheric inorganic chlorine and bromine species in Arctic boundary layer of the winter/spring"J.Geophys.Res.. 107. Printing (2002)
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[Publications] Hashida, G. et al.: "Temporal and spatial variations of surface oceanic CO_2 in the Greenland Sea and the Barents Sea"Extended Abstracts, 6th International Carbon Dioxide Conference, October 1-5, 2001, Sendai, Japan. 639-640 (2001)
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[Publications] Shibata, T., H.Adachi, Y.Iwasaka, K.Shiraishi, M.Fujiwara: "Lidar-observed arctic PSCs over Svalbard"Proceedings of SPIE, Lidar remote sensing for industry and Environment monitoring, 9-12 Oct. 2000, Sendai Japan. 4153. 256-263 (2001)
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[Publications] Shiobara, M. et al.: "Micro-pulse lidar measurements for cloud and aerosol in the Arctic and Antarctica"Proceedings of Nagasaki Workshop 2001 on Aerosol-Cloud Radiation Interaction and Asian Lidar Network, November 27-29, 2001, Nagasaki, Japan.. 32-35 (2001)