2001 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカにおける家畜と野生動物の相互伝播性疾病に関する調査研究
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11691165
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Research Institution | IWATE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
安田 準 岩手大学, 農学部, 教授 (20142705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 光敏 鹿児島大学, 農学部, 教授 (00174954)
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Keywords | ザンビア / カフエレチュエ / ウシ / 野生動物 / ウシ免疫不全ウイルスBIV / ウシヘルペスウイルスBHV-1 / 肝蛭 / 精子形成 |
Research Abstract |
平成13年8月から9月に日本から5名がザンビアを訪問した。本年はザンビア大統領令で野生動物の捕獲許可が一切交付されないことになり研究計画の大幅な変更を余儀なくされた。現地研究協力者とともにサウスルワンガ国立公園を訪問し各種野性獣の被毛を採取した。また数カ所のゲームランチに赴き、野生動物数個体のホルマリン保存生殖器を採取した。ロッキンバー国立公園と接する地域のウシやロバの血液とルサカ近郊屠畜場でウシの肝蛭なども採材した。これらの材料を用いて、ザンビアにおける家畜と野生動物のウィルス性疾病(ウシ免疫不全ウィルスBIV、ウシ白血病ウィルスBLV、ウシヘルペスウィルスBHV-1、狂犬病ウィルスRBV)の抗体調査と病原体に関する分子疫学的解析を行った。またウシとレチュエに寄生する肝蛭の遺伝学的相同性を検索した。その結果、251頭のウシでBLV感染は認められなかったが、30頭12%がBIV抗体陽性であり、8頭の抗体陽性牛のリンパ球からBIVプロウィルス遺伝子が検出され、他国のウシとの塩基配列の相同性を検索中である。116頭のウシから56頭48%がBHV-1抗体が陽性で、このうち27頭23%は抗原も陽性であった。RBV遺伝子の塩基配列はザンビアのイヌ由来株間では93〜100%,wildebeest由来株とイヌ由来株間では93〜99%の相同性を示し、wildebeestはイヌから感染を受けたと考えられた。ウシとレチュエ双方から得た肝蛭遺伝子型で共通する部分を確認し、相互伝播の可能性が示唆された。またレチュエの生殖器形態と交配期直前の精子形成状況を明らかにした。これらの知見は平成13年10月の第132回日本獣医学会にて、本研究班がコーディネーターを務めたワークショップ「海外における動物疾病の動向」において、公衆衛生的見地からみたレチュエとウシ間の結核菌感染、ウマとシマウマの間のロドコッカスエクイ感染、ウシとレチュエ間の肝蛭の相同性、などの演題について討議された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Syakalima, M., Tsubota, T., Itagaki, T., Yasuda j. et al.: "An Investigation of Heavy Metal Exprosure and Risks to Wildlife in the Kafue Flats of Zambia"J. Vet. Med. Sci. 63(3). 315-318 (2001)
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[Publications] Syakalima, M., Yoshida, M., sugimoto, T., Yasuda J. et al.: "Bioaccumulation of Lead in Wildlife Dependent upon the Contaminated Environment of the Kafue Flats"Bull. Environ. Contam. Toxicol. 67. 438-445 (2001)
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[Publications] Mweene, A., Fukushi, H., Yasuda, J., Onuma, M. et al.: "Infectious Diseases of the Kafue lechwe(Kobus leche Kafuensis)in Lochnivar National Park of Zambia-An Overiew"日本野生動物医学会誌. 7(2)in press. (2002)