2000 Fiscal Year Annual Research Report
北アメリカ大陸におけるアジア関連温帯要素植物群の個体群統計遺伝学的研究
Project/Area Number |
11691175
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Research Institution | HOKKAIDO UNVERSITY |
Principal Investigator |
大原 雅 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (90194274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高須 英樹 和歌山大学, 教育学部, 助教授 (90108001)
林 一彦 大阪学院大学, 経済学部, 教授 (60121753)
河野 昭一 京都大学, 名誉教授 (30019244)
北村 系子 森林総合研究所, 生物機能開発部, 主任研究官
高田 壮則 北海道東海大学, 国際文化学部, 教授 (80206755)
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Keywords | 遺伝子流動 / 遺伝的変異 / 系統関係 / 生活史 / 個体群構造 / 繁殖特性 |
Research Abstract |
本研究は、現在東アジアと北米大陸の両地域に適応放散し隔離分布を示す多くの近縁植物群に関して、地域集団の時間的・空間的構造ならびに遺伝的構造を比較解析し、両地域で生活史を背景とした系統的制約(phylogenetic constraint)と環境的制約(environmental constraint)の相互作用で生じた、多様な生態進化の実態を明らかにすることを目的としている。 2年度(最終年度)にあたる平成12年度は、ロッキー山脈生物学研究所所長のAllison氏ならびにハント植物学研究所のUtech氏の協力のもと野外生態調査を行った。まず、西部地域ではロッキー山脈に生育するカタクリ属植物の1種(Erythronium grandiflorum)を対象に、開花フェノロジーの調査を行った。その結果、異なる標高に広範囲にわたって生育するこの種では、標高の違いならびにそれによる雪解け時期の違いが毎年の開花フェノロジー変異、さらには集団間の遺伝子流動に大きく影響を与えていることが明らかになった。一方、東部地域ではエンレイソウ属植物3種を対象に、各種の繁殖特性および酵素多型を用いた個体群の遺伝的構造の解析を行った。その結果、これらの種は虫媒による種子繁殖ならびに地下茎による栄養繁殖を行うことが明らかになった。また、栄養繁殖が頻繁に観察された個体群では、同じ遺伝子型をもったクローン個体の集合が予想されたが、集団レベルでは非常に高い遺伝的多型が維持されていることが明らかになった。 このほか、ユリ科ユリ属植物ならびにツバメオモト属植物数種に関する採集を行ない、これまでデータを蓄積してきている系統解析の補強として、rbcL遺伝子ならびにmatK遺伝子配列の決定を行った。
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