1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11694052
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村井 久雄 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50142261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 公憲 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70229300)
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Keywords | ミセル / スピン化学 / ラジカル対 / 膜界面 / テトラフェニルヒドラジン / 時間分解電子スピン共鳴法 / 光化学反応 / 交換相互作用 |
Research Abstract |
本研究は、ミセルや生体膜界面における化学反応機構を、磁気共鳴をはじめとするスピン化学的手法を用い、国際的協力により明らかにすることを目的としている。本年度は、米国ノースキャロライナ大学化学科M.D.E.Forbes教授を東北大学に招へいし、ミセル界面に関する時間分解電子スピン共鳴法による研究の情報交換を行なった。また、代表者は研究協力者である大学院学生とノースキャロライナ大学を訪問し共同研究を行なった。時間分解Q-バンドESR装置にレーザーを組合わせ、高周波領域におけるミセル界面における光反応を研究し、ラジカル対のスピンダイナミクスを明かにする計画であったが、装置の故障で訪問期間に結果を出すには至らなかった。しかし有意義な情報交換をすることができ、東北大学における成果につながった。また、イギリスOxford大学のP.Hore助教授を招へいし生体膜関連のスピンダイナミックスに関して討論を行った。この研究に関しては、研究分担者である前田博士をオックスフォード大学に派遣し、タンパク質におけるホールディングの新しい研究手法に関して新しい情報を得た。この共同研究に於いては、将来の本題目の発展を見据えた生体系への応用発展の基盤づくりを行うことができた。 本年度の具体的成果としては、上記共同研究から新しい知見が得られたことと、それと関連して、ミセル中におけるテトラフェニルヒドラジンの光分解から得られた一重前駆体ラジカル対のスピンダイナミクスに関して、交換相互作用の揺らぎによる緩和過程を明らかにでき、学術誌に発表に及んだことである。また、ミセル中におけるラジカル対のダイナミクスに及ぼす電磁波効果の研究が進行しており、早急に学術論文として発表すべく準備をしている。さらに、次の計画ではジシアノベンゼンとビレンの系等、電子移動をともなう反応を用い、膜界面におけるイオンラジカルの輸送の問題に発展させる計画である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Nakai: "Delayed-Fluorescence-Detected Magnetic-Resonance Study on the Spin Dynamics of the Transient Radical-lon Pair Formed in the Photolysis of Carbazole in 2-Propanol"Chem. Phys. Letters. 302. 577-582 (1999)
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[Publications] T.Fukuju: "Real Time Observation of the Singlet-Triplet Dephasing Effect on the Spin Dynamics of the Spin Correlated Radical Pair Formed in the Photolysis of Tetraphenylhydrazine in an SDS Micelle"Chem. Phys. Letters. 304. 173-179 (1999)
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[Publications] A.Matsuyama: "Photoconductivity-Detected Magnetic-Resonance (PCDMR) Study on Photoinduced Electron-Transfer Reaction of Xanthone and N,N-Diethylaniline in 2-Propanol"J. Phys. Chem.(A). 103. 4137-4140 (1999)