1999 Fiscal Year Annual Research Report
磁場中の2次元有機伝導体の多様な秩序状態の系統的理解
Project/Area Number |
11740233
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Research Institution | Kochi National College of Technology |
Principal Investigator |
堀 佳城 高知工業高等専門学校, 電気工学科, 講師 (90270363)
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Keywords | vortex lattice / symmetry / Bogoliubov-de Gennes equation / magnetic translation |
Research Abstract |
磁場中の2次元有機伝導体における秩序状態を系統的に理解するため,磁場中の正方2次元拡張ハバードモデルの磁場中での並進対称性および4回回転対称性を厳密に考慮し,スピン回転については全対称性を持つ可能なすべての平均場について自己無撞着解及び,その自由エネルギーの温度磁場依存性を数値的に求めた。この中で特に,s波的な超伝導状態を詳しく調べた。この結果,現在までに次の成果を得た。 この対称性の下で許される秩序状態は,本質的に3種の異なる対称性を持つ渦糸格子状態と電荷密度波状態である。1格子点あたりの電子数が1であり,電荷分布一様である場合には,これらのうちで最安定なものは,(正方)アブリコソフ格子状態であることは,予想された通りであった。しかし,その他の対称性を持つ渦糸格子状態も実際に準安定な自己無撞着解として存在し,異なる条件下では,これらが最安定化する可能性もあると考えられる。実際,強磁場極低温の条件下では,アブリコソフ格子状態に非常に近い自由エネルギーを持つ状態を見出している。また,モデルの性質上,電荷密度波が共存する,より安定な状態が存在するが,これについては未検討である。1格子点あたりの電子数が1ではない場合も,現在までに調べた範囲ではアブリコソフ格子状態が最安定であるが,この場合,渦糸格子状態の出現に伴って必ず電荷密度波が生じることが明らかになった。更に,各状態の準粒子エネルギーバンドを調べ,1格子あたりの電子数が1でありかつ電荷分布が一様であるアブリコソフ状態では,フェルミ準位にギャップのない状態となるが,その他の状態ではフェルミ準位にエネルギーギャップがあることを示した。また,実験と直接比較し得る物理量として,局所的状態密度を得た。
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