1999 Fiscal Year Annual Research Report
氷蓄熱システムにおける多孔質固相の溶融現象に関する研究
Project/Area Number |
11750160
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
熊野 寛之 東京工業大学, 工学部, 助手 (30262299)
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Keywords | 伝熱 / エネルギー貯蔵 / 相変化 / 接触溶融 / 多孔性固相 |
Research Abstract |
本研究は、氷蓄熱システムにおいて生成される氷に焦点を絞り、この多孔質固相を試料として伝熱版に押し付けながら溶融させる接触溶融現象を実験的、解析的に検討を行うものである。 本年度は、円盤型伝熱面を有した実験装置を作成し、直径90mm、高さ90mmの多孔質固相を伝熱面で溶融させ、溶融量の測定を行った。多孔質固相は氷を小さく砕いたものを篩によって仕分け、それを固めたものを試料とした。粒子直径は、0.5mm以下のものから10mm〜20mmのものまで7種類に分別した。その結果、粒子径0.5〜1.0mm、1.0〜1.7mmにおいて、粒子径の増大に伴い溶融に当てられる熱流束は上昇する事がわかった。これは透過率の増加によって解けた液体が固相内部を通過し外部へ排出されやすくなり、試料下面の液膜厚さが薄くなっていくためと思われる。一方、粒子径2.8〜4.0mm以降の粒子からなる試料においては、粒子径が大きくなると熱流束は小さくなることがわかった。これは粒子径が大きくなることにより、固相粒子と伝熱面との間の液膜厚さが増加するという接触溶融固有の現象によるのもであると思われる。 そこで、固相が粒子径と同様の直径を有する円柱から構成されているものとし、円柱が個々に接触溶融しているものとして近似解析を行った。その結果、粒子径が5mm程度までの比較的小さい場合には、解析結果が実験結果より大きくなるのに対し、直径が5mm以上の粒子から構成された多孔体では、解析結果と実験結果は一致することがわかった。 以上の結果から、現象をモデル化する場合、粒子径が比較的小さい場合には溶けた液体が固相内部に浸透し、固相外部へ排出する効果を考慮に入れる必要があると考えられ、平成12年度では、多孔質内を通過する溶融液体を考慮に入れた数値解析を行うために、多孔質固相の透過率、毛管力を測定し、それらを用いてモデル化を行う。
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