1999 Fiscal Year Annual Research Report
海岸植物に共生するアーバスクラー菌根菌の生態解明及び緑化への利用方法の開発
Project/Area Number |
11760016
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
阿部 淳一ピーター 筑波大学, 農林学系, 助手 (40292510)
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Keywords | 菌根 / Glomales / 海浜植物 / 生態学 |
Research Abstract |
1 アーバスクラー菌根菌の分布調査について 本年度では北海道,青森を調査し,それぞれ4ヶ所と1ヶ所の海浜で汀線付近および汀線から遠い地点の植物の根元から土壌を採取し,菌根菌の分離・同定・増殖を行った。菌根菌の分布調査の新知見として,青森と関東の海浜(以前の調査データの比較)に分布する菌根菌相は類似点が多く,優占種がScutellospora gregariaであった。しかし北海道では優占種が明らかにならなかった。また,北海道には本州より海浜土壌に構成する菌根菌の種類が少なかった。 2 海浜のアーバスクラー菌根菌の接種源量と植物の地上部におけるリン含量の関係について 宿主植物に対する菌根菌の影響力を調査するため,植物の地上部におけるリン含量を測定することがよく用いられている。本研究では茨城県波崎町海浜に汀線から内陸へ約200mの直線を引き,直線上に植生の変化ごと4調査地点を設置し,各地点から土壌を採取し,植物実生を植え,それぞれ1,2,3ヶ月後に地上部のリン含量と菌根菌の感染率を測定した。また,各地点の菌根菌の接種源量(MPN)および構成種数を測定したところ,汀線から内陸へ増加する傾向が認められた。MPNが2倍程度異なる土壌では2ヶ月後までクローバのリン含量および感染率の増加が確認され,菌根菌の影響を受けていると推測した。しかし,クローバの3ヶ月後やネギの1ヶ月後以降には感染率が低下し,菌根菌の影響が認められなかった。この実験で新たな知見を得るには実験方法の再検討が必要であると考える。
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