1999 Fiscal Year Annual Research Report
アレルギー疾患と腫瘍の診断治療に結びつく新規セリンプロテアーゼの分子生物学的解析
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11770244
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
井上 雅広 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 助手 (00232562)
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Keywords | esp-1 / セリン性プロテアーゼ / プロモーター / 転写因子 / ノックアウトマウス / エンハンサー / 癌 / シャペロン |
Research Abstract |
本年度の研究で、ヒトesp-1遺伝子は6エキソン、5イントロンからなりクロモゾームの16p 3,3に位置することが明らかとなり、又、マウスでも同様であることが明らかになった。転写の開始点も明らかになり、ミニマムプロモーター領域もルシフェラーゼベクターを用いて決定した。転写の開始点の位置は、マウスとヒューマンで、polymerase IIの結合部位より13塩基下流であった。ところが、驚くべきことにプロモーターのシークエンスは、マウスとヒューマンで全く相同性を認められなかった。 マウスの遺伝子においては17.5kbpの塩基配列を決定し、これを基にノックアウトマウスを作製するためのジーンターゲッティングベクターを作製した。これをES cellにトランスフェクションし、現在スクリーニング中である。さらにマウスの17.5kbpとヒューマンのdata baseのシークエンスを比較することにより、エンハンサーと思われる配列を予測した。これらのデーターは遺伝子の構造を予測する一助となるであろう。 また我々は、種々のヒト癌細胞約40株(肺癌13、卵巣癌20、子宮頚癌1、白血病6種類)でのこの遺伝子の発現を調べたが、わずかに3例にとどまった。癌細胞では、この遺伝子の発現は抑制されているように思われる。 前述のエンハンサーシークエンスに結合する転写因子が癌細胞では欠如するのではないかと我々は考えている。この転写因子のクローニングが今後の課題である。 これらに加えて、このESP-1タンパク質のリコンビナントを種々の方法で作製したが、セリン性プロテアーゼの活性が得られたものは無かった。そこで、このタンパク質の作用発現には、シャペロンの様なタンパク質の作用が必要と思われたため、現在そのタンパク質のクローニングを行っている。
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[Publications] Masahiro Inoue: "Structual analysis of esp-1 gene (PRSS 21)"Biochem.Biophys.Res.Commun.. 266(2). 564-568 (1999)
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[Publications] Hiroshi Mori: "14-3-3 Associates with a translational control factor FKBP 12-rapamycin-associated protein in T cells after stimulation by pervanadate"FEBS Lett.. 467(1). 62-64 (2000)