1999 Fiscal Year Annual Research Report
Pulmonary artery infusionは転移性肺腫瘍に対して有効か-Open lung injection法による単発性肺腫瘍の肺転移モデルとしての有用性およびcisplatinを用いたpulmonary artery infusionの抗腫瘍効果に関する実験的検討-
Project/Area Number |
11770749
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
大宮 英泰 関西医科大学, 医学部, 助手 (70309219)
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Keywords | pulmonary artery infusion / 転移性肺腫瘍 / open lung injection / レーザー組織血流計 |
Research Abstract |
【目的】転移性肺腫瘍に対する予後改善を目的として教室ではcisplatinを用いたpulmonary aretry infusion(PAI)による局所化学療法の薬物動態につき検討を行い、その有用性を示唆してきた。しかし転移性肺腫瘍モデルとして使用し得る細胞株は少なく、抗腫瘍効果に関する検討は限られた組織型のみを対象として行われている。一方open lung injection法は単発性肺腫瘍を作製する手技として種々の細胞株に応用可能とされている。そこで今回はopen lung injection法により作製した単発性ラット結腸癌肺腫瘍モデルの血流支配を確認することにより転移性肺腫瘍モデルとしての有用性を検討する。 【対象・方法】実験には150g〜200g、雄性F344ラットを用い、open lung injection法によりラット結腸癌肺転移モデルを作製した。全身麻酔下左第7肋間に約1.5cmの小開胸を加えた上で、ラット結腸癌細胞株であるRCN-9細胞1.5×10^6個を含む細胞浮遊液50μlを左肺に直視下に接種し閉胸、麻酔覚醒後気管チューブを抜去した。接種後10日目に再度全身麻酔下に左第4肋間開胸を加え、肺門部を剥離した上でレーザー組織血流計を用いて肺動静脈遮断前後の腫瘍組織血流を測定した。 【結果】肺動静脈遮断前の腫瘍組織血流が32.3±12.5であったのに対し肺動静脈遮断後は23.7±11.8であり、両群間で有意差を認めた(p=0.003)。 【まとめ】腫瘍組織血流は肺動脈遮断後有意に低下しており、本腫瘍が肺動脈からの血流の供給を受けていることが示唆された。即ちopen lung injection法により作製した単発性ラット結腸癌肺腫瘍モデルは転移性肺腫瘍モデルとして有用であると考えられ、この結果をもとに平成12年度は本腫瘍モデルを用いてPAIの抗腫瘍効果の関する検討を進める予定である。
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