2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト黄体細胞のホルモン産生とアポトーシスの調節機構の解明:ヒト顆粒膜黄体細胞株の樹立とこれを用いた検討
Project/Area Number |
11770930
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
細川 久美子 福井医科大学, 医学部, 講師 (60199495)
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Keywords | ヒト黄体化顆粒膜細胞株 / ステロイド産生 / p53 / アポトーシス / 細胞外マトリックス成分 / bFGF |
Research Abstract |
当該研究者はそれぞれcAMPまたはFSH刺激にてプロゲステロン(P4)を産生するヒト黄体化顆粒膜細胞株HO-23とHRP53-10を樹立した。これらを用い、以下のことを検討した。 1 卵巣内諸因子による黄体細胞のステロイド産生調節 卵巣内諸因子のうち基底膜を含む細胞外マトリックス成分(ラミニン、フィブロネクチン、タイプIコラーゲン、タイプIVコラーゲン、エンタクチン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン)と成長因子(EGF,bFGF)がP4産生にどのような影響を与えるか調べた。まず細胞内ステロイド産生機序がより単純であるHO-23を用いて実験したところ、P4産生はラミニン存在下で抑制され、ヘパラン硫酸プロテオグリカン存在下で促進された。フィブロネクチン、タイプI及びタイプIVコラーゲンの各存在下では明らかな変化はなかった。EGF投与では産生に変化がなかったのに対し、bFGF投与では著明に抑制された。このような各因子によるP4産生調節の違いについて、現在P450scc、Steroidogenic acute regulatory protein(StAR)など細胞内ステロイド調節因子の発現を調査中であり、HRP53-10細胞においても検討する予定である。 2 卵巣内諸因子による黄体細胞のアポトーシス調節 培養温度の変化によりp53が活性化されアポトーシスに陥るというHO-23の性質を利用し、上記諸因子が黄体細胞のアポトーシスをどのように調節するかフローサイトメーターを用いて検討した。結果、フィブロネクチン、タイプI及びタイプIVコラーゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカンの各存在下でHO-23のアポトーシスは抑制された。bFGFの存在下でもアポトーシスは抑制され、このときp53を中和するMdm2タンパクの発現亢進がみられた。HRP53-10はcAMP刺激にてアポトーシスを誘導するが、このときMdm2やp21などp53に関連するタンパクの発現はむしろ抑制された。従って今後p53とは別のアポトーシス誘導機序の関与を検討する必要がある。
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