Research Abstract |
我々は研究グループでは,生体への親和性が高く,また物理的強度と化学的安定性に優れた陶材の利点を,有床義歯においても生かすために,部分床義歯のメタルフレームに直接陶材を焼付ける手法の開発を行っている.これまでに,義歯床用 Co-Cr 合金に陶材を焼付ける際に,金属表面に対して金粉処理を行うことによって接着強さが向上することを見い出してきた. そこで本年度は,義歯床用合金に歯科用陶材を焼付ける場合に,金属の表面を金粉で処理する方法において,金粉-オペーク層が金属色の遮蔽効果に対して及ぼす影響について検討を加えた.その結果,オペーク陶材の厚さが,0.25mm以下の場合に,金粉処理条件における金粉の希釈濃度が,金属色遮蔽効果に影響を及ぼすことが明らかとなったことから,陶材の厚さが薄い歯頚部や,デンチャースペースが少ない症例において,一定の濃度以上の金粉処理を行うことにより,高い金属色遮蔽効果が得られ,強度と審美性を兼ね備えた義歯の製作が可能となることが示唆された. さらに,陶歯を製作する場合に,排列スペース小さい場合や,デンチャースペースの印象にピエゾグラフィを取り入れた場合に,既製に陶歯では形態が適合しないため,我々は,陶材泥を陰型に注入後,凍結して取り出し,焼成することにより,各症例に適合した人工歯を製作する陶歯成型法の開発を行っている.本年度は,焼成時の陶材の収縮について,注入する陶材泥の混水比が焼成後の陶材の寸法再現性に及ぼす影響について検討した結果,混水比400μ1/g以下の混水比で,それ以上のものより高い再現性が得られた. 以上のことから,金属床義歯に,直接陶歯を焼付ける方法で,義歯を製作することの可能性が示された.
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