1999 Fiscal Year Annual Research Report
血小板由来成長因子β-受容体遺伝子の血管平滑筋特異的発現調節
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11838012
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
北見 裕 愛媛大学, 医学部, 助手 (10234270)
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Keywords | 血管平滑筋細胞 / 細胞増殖 / 血小板由来成長因子受容体 / 5^1-上流域 / 転写制御因子 / CCAAT結合タンパク / NF-Y / プロモーター活性 |
Research Abstract |
血小板由来成長因子(PDGF)は血管平滑筋細胞(VSMC)の強力な細胞増殖因子の1つであるが、PDGFの生理作用はその特異的な受容体を介して発現される。また、動脈硬化巣や糖尿病性血管病変などでPDGFβ-受容体(PDGFRβ)が過剰発現されることも知られているが、そのVSMC特異的な遺伝子発現調節を規定している因子は不明である。そこで、独自に単離した約1.7-kbの5^1-上流域を含むPDGFRβ遺伝子を用い、VSMCおよび肝細胞(HTC)におけるプロモータ活性を比較することで、VSMC特異的転写に関与する因子を解析した。その結果、PDGFβRの基本的転写活性には、-67〜-61に存在するCCAATボックス(以下、C67)が重要であり、この領域にはCCAAT結合因子の1つであるNF-Yが結合して転写を活性化することを明らかにした。さらに、この領域に対するゲルシフトならびにスーパーシフト解析の結果、この因子はVSMCおよびHTCの両細胞で発現を認め、組織特異的な転写調節に関与しない、基本的な転写活性化因子であることが明らかになった。一方、その上流に存在する-150〜-121(以下、R30)はC67と協調して転写を活性化する必須の配列であることが示され、この領域に結合する転写因子によってVSMC特異的な転写調節が行われていることが明らかになった。本年度までの研究により、内因性PDGFRβ遺伝子発現を認めないHTCでは、R30は負の転写調節配列(negative regulatory element;NRE)として働いており、HTC由来の核抽出液にのみ、この領域に結合する特異的な抑制性DNA結合タンパクの存在をゲルシフト解析により同定している。今後は、R30に結合する転写因子の特徴を明らかにするとともに、病変部に過剰発現されるPDGFβR発現を遺伝子レベルで抑制する方法を開発して行く予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kitami Y,Fukuoka T,Hiwada K,Inagami T: "A high level of CCAAT-enhancer binding protein-δexpression is a major determinant for markedly elevated differential gene expression of the platelet-derived growth factor-αreceptor in vascular smooth muscle cells of genetically hypertensive rats."Cire Res. 84・1. 64-73 (1999)
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[Publications] Fukuoka T,Kitami Y,Okura T,Hiwada K: "Transcriptional regulation of the platelet-derived growth factor α-receptor via CCAAT/enhancer-binding protein-δ in vascular smooth muscle cells."J Biol Chem. 274・36. 25576-25582 (1999)
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[Publications] Takata Y,Kitani Y,Fukuoka T,Okura T,Hiwada K: "A novel cis-element for tissue transcription of rat platelet-derived growth factor β-receptor gene."Hypertension. 33[partII]・1. 298-302 (1999)
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[Publications] Igawa M,Okura T,Kitami Y,Hiwada K: "Apoptosis and Bcl-xs in the intimal thickening of balloon-injured carotid arteries."Clin Sci. 96・6. 605-612 (1999)
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[Publications] Kitami Y,Maguchi M,Nishida W,Okura T,Kohara K,Hiwad K: "The unique 5^1-flanking region of the human basic calponin gene."Hypertens Res. 22・3. 187-193 (1999)