2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J06630
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
松井 亨 独立行政法人理化学研究所, 計算科学研究機構, 特別研究員(PD)
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Keywords | 核酸塩基 / 金属錯体 / 量子化学計算 / 光誘起反応 |
Research Abstract |
当該年度においては、金属を内包する天然あるいは人工核酸において、光誘起磁性と言った光励起に関係す物性を持つ物質の可能性を探索した。その中で、ブレオマイシンと呼ばれる薬物が金属イオンと酸素分子を取り込んだ時にDNAの糖鎖を切断する反応において、コバルトイオンを取り込んだ場合には光照射がなければ反応が起こらないことに着目し、そこから光誘起磁性の可能性を模索した。 時間依存密度汎関数法による計算の結果、コバルトが光励起することにより、HOMO-LUMOギャップに相当する励起エネルギー程度の波長しか与えられない場合でも、一重項と三重項のスピンフリップにより、その後は熱的に反応が進行することが予想された。また、十分な励起エネルギーを与えた場合は、0-0のσ*軌道に電子が入るために、結合が切れてラジカルが生成し、そのままOHラジカルとして糖鎖を切断する働きを持つということが分かった。また、切断反応においては、三重項での反応の方がより有利に進むということもエネルギーの比較から分かっている。通常では、人体内の鉄イオンがブレオマイシンに取り込まれることから反応が進むことが知られているが、コバルトとの違いは金属-酸素の結合エネルギーの違いによって説明できる。鉄では、OHラジカルの放出とともに、酸素原子との結合が出来るのに対し、コバルトではそのような結合が生じず、エネルギー的に有利にならないことが、反応のために光誘起が必要となる理由として説明できる。これら一連の研究は、金属の光誘起磁性のみならず、薬物の光応答にも応用することが期待される。また、類似の性質を持ちうる金属を内包した天然/人工核酸塩基に関しては、今後もその可能性を探索する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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