2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J08157
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹尾 明子 東京大学, 地震研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 地震波速度構造 / プレートテクトニクス |
Research Abstract |
本課題は広帯域地震計記録を解析し、深さ約10-100kmの地震波速度構造を推定するものである。特に、地震波速度が伝播方向や振動方向によって変わる性質、異方性をテーマとしている。地震波速度や異方性は地球内部岩石の流動性や変形史を反映するため、プレート運動などついての理解を深められると期待される。本年度はまず手法改良を行い、地震波速度の異方性について定量的な評価を行った。この結果、海洋プレート内部の地震波速度異方性は、拡大当時のプレート運動方向を反映することを示した。次に米国ブラウン大学を訪れて米国のプロジェクトPLATEexperimentによって北西太平洋において得られた海底地震計記録および海底差圧計記録の解析を行った。そこでは、記録の時刻や機器応答を補正する手法を開発したほか、複数の表面波を同時解析する手法を開発し、シャツキー海台南西部における海洋地殻構造やプレート内の地震波速度異方性を推定した。その後はNOManプロジェクト(科学研究費・特別推進研究「海半球計画の新展開:最先端の英観測による海洋マントルの描像」)の観測航海に参加し、シャツキー海台北西部において観測機器投入前の整備や得られた最新記録の時刻補正などを行った。帰航後は航海観測によって得られた海底地震計記録の解析を行った。それと同時に国際学術誌に投稿した四国海盆の構造推定に関する論文の査読に対応し、再投稿した。これら四国海盆やフレンチポリネシア、シャツキー海台周辺の結果を合わせて国際ワークショップで発表した。一方で、日本列島のHi-net高感度加速度計記録の解析も開始し、日本列島下の地殻-最上部マントル異方性構造を既存の表面波・実体波研究よりも高い鉛直解像度で推定した。その結果、西南日本のスロー地震発生域や糸魚川-静岡構造線に沿う部分の地殻や最上部マントルで周囲と異なる異方性があることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り新たな観測記録を解析し、解析領域の拡張を行った。特に米国ブラウン大学に2ヶ月滞在し、米国のグループが北西太平洋で取得した最新データの解析を行った。その結果、手法の改良が計画以上に進んだほか、海洋プレート内の異方性の強さや方向について多様性の原因が判明しつつある。一方、投稿中の論文に関しては査読結果に対応し再投稿を行った。また、日本のグループによる海域の観測計画(科学研究費、特別推進22000003)が東日本大震災の影響遅れているため、日本列島の構造推定を行い他の海域の構造との比較を始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでの研究成果を論文として発表する予定である。1本は査読結果を元に改訂中であり、1本は投稿準備中である。その他にも少なくとも2本の論文を投稿予定である。また、日本列島の構造推定に関しては地震波速度異方性の地域性に関する興味深い結果が出ており精査を行う。一方で、北西太平洋で進行中の観測計画(科学研究費、特別推進22000003)によって8月に最新記録が得られる予定である。データ取得までは新たな解析手法の準備を行い、データ取得後は解析を行う予定である。
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Research Products
(4 results)