2001 Fiscal Year Annual Research Report
植物表層における病原菌-植物シグナル交換と情報伝達
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12052219
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
白石 友紀 岡山大学, 農学部, 教授 (10033268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 康之 京都府立大学, 農学部, 教授 (80183797)
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Keywords | 細胞壁 / シグナル伝達 / 付着器 / 炭疽病菌 / 形態分化 / 活性酸素 / NTPase / Arabidopsis |
Research Abstract |
植物一病原菌接触から相互のシグナル交換とそれぞれの情報伝達系が作動すると考えられる。本年度は、モデル植物を用いた系の確立も図りながら、研究を実施した。 ・ウリ類炭そ病菌のSTE12様転写因子CST1に(Colletotrichum Ste12 like)の構造解析および遺伝子破壊実験によるCST1の機能解析を行った。CST1破壊株はキュウリ葉、セルロース人工膜への侵入菌糸形成能を欠き,さらに宿主内進展能低下を示し、CST1遺伝子はウリ類炭そ病菌の宿主内進展、付着器からの侵入菌糸形成に強く関与する広義の病原性関連遺伝子と位置付けられた。 ・アグロバクテリウムを利用した炭そ病菌の形質転換、遺伝子破壊実験系を確立し、ウリ類炭そ病菌から12菌株、アブラナ科野菜炭そ病菌から2菌株の病原性欠損変異株の取得に成功した。 ・アブラナ科野菜炭そ病菌がアラビドプシスに感染性を有することを確認し、197種のアクセッションに対する病原性試験をおこなったところ数種の強度罹病性系統と抵抗性系統の存在が推定された。また,アラビドプシスのエチレン信号伝達欠損株ein-2が炭そ病菌の非病原性系統に対して罹病性を示し、エチレン信号伝達系の防御応答への関与が示唆された。 ・エンドウをモデルに、病原菌シグナルに応答する細胞壁結合型の活性酸素関連酵素を調べた結果、peroxidase, diamineoxidase(DAO), ascorbate oxidase, Cu/Znsuperoxide dismutase等の存在が明らかとなった。このうちDAOによってputrescineから生成する分子が、感染阻害作用を不したことから、DAOは初期植物表層における抵抗性に関与する酵素であると考察した。 ・エンドウプロトプラストに結合する細胞壁タンパク質の存在を確認した後、原形質膜可溶化タンパク質を固相化、相互作用する11種のタンパク質を分離した。アミノ酸解析の結果、トマト抵抗性遺伝子ホモログcf-9やgermin-like proteinが同定されたので、現在クローニングを進めている。 ・エンドウNTPase遺伝子(PsAPY1)を大腸菌で発現させた組換えタンパク質のシグナル応答を調べた結果、エリシターで活性化され、サプレッサーで阻害された。一方、バキュロ系で発現させたササゲNTPase(VsNTPase1)はエリシター・サプレッサー両者で活性化され、in vivoにおける防御応答と同様の特異的応答が認められた。以上の結果から、植物細胞壁NTPaseはシグナル受容体として機能すると考察した。さらにNTPaseはDAO活性を制御する可能性も見いだしている。 ・アブラナ科炭疽病菌とArabidopsisから、Arabidopsisに対して感染誘導並びに防御応答阻害因子を探索した。この結果、活性を確認したのでそれらの精製を進めている。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Matsuo, H. et al.: "Gramine increase associated with rapid and transient systemic resistance in barley seedlings induced by mechanical and biological stresses 42, 1103-1111"Plant Cell Physiol.. 42. 1103-1111 (2001)
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[Publications] Tsuji, G. et al.: "Laccase gne LAC1 of Colletotrichum lagenarium is not essential for melanin biosynthesis and pathoqenicity"J. Gen. Plant Pathol.. 67. 182-190 (2001)
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[Publications] Okamoto, S. et al.: "Inhibitory effect of aflastatin A on melanin biosynthesis by Colletotrichum laaenanum"Microbiology. 147. 2623-2628 (2001)
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[Publications] Toyoda, K. et al.: "Early signaling events required for induction of phytoalexin accumulation in peaepicotyls"Plant Disease and Their Control. China Agric. Scientech Press. Beijing.(Proc. 1st Asian Phytopathol. Congress). 45-49 (2001)
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[Publications] 久保 康之: "感染初期の分子機構-病原菌感染に関わる形態分化と遺伝子発現"化学と生物. 39. 531-537 (2001)
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[Publications] 白石 友紀, 豊田 和弘, 木場 章範, 一瀬 勇規: "初期・表層シグナル伝達系と防御システム"化学と生物. 39. 686-692 (2001)
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[Publications] Shiraishi, T. et al.: "In Delivery of Pathogen Signals to Plants. APS Press, St. Poul, Ml"Suppressors of defense-Supprescins and Plant receptor molecules. 268 (2001)