2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12130202
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐久間 健人 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (50005500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PEZZOTTI Giuseppe 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (70262962)
幾原 雄一 東京大学, 工学部・総合試験所, 助教授 (70192474)
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Keywords | セラミック / 粒界 / 量子状態 / 微細構造 / 電子顕微鏡 / 粒界すべり / 点欠陥 / 粒界電気的特性 |
Research Abstract |
本研究は、局在量子構造制御によるセラミックスの設計指針を確立することを最終目的とし、今年度はその理論的バックグラウンドをサポートする基礎データの蓄積を図った。アルミナ、ジルコニア、SrTiO_3といった代表的構造・機能性セラミックスについて双結晶を作成し、その機械的・電気的特性を詳細に調べた。アルミナおよびジルコニアについてはバイクリスタルを系統的に作製し、その粒界をHREM, EDSおよびEELSで評価・解析し、構造と化学組成を明らかにした。粒界エネルギーは粒界性格に大きく依存し、低Σの粒界でエネルギーカスプを有することが分かった。この挙動は一般の金属材料とは異なりセラミック材料独自の挙動となることを見出した。一方、粒界エネルギーの大部は粒界近傍の弾性ひずみエネルギーに起因するものであり、粒界原子構造の寄与は小さいことも明らかにした。アルミナについては、その小傾角粒界は、1/3[1100]のバーガースベクトルを有する部分転位列で構成されており、転位間には積層欠陥が形成されていた。また、粒界すべり挙動を調べたところ、粒界原子構造と傾角回転角度に依存することが判明した。また、ジルコニアについては、粒界へのYの偏析挙動が傾角ならびに粒界構造と密接に関係することを突き止めた。 一方、電子セラミック材料であるSrTiO_3については、粒界電気的特性が粒界転位を中心として生成・消滅する陽イオン空孔と密接に関係することが明らかとなった。小傾角粒界の回転角度を種々に調整した試料を作成し転位と電気的特性、特に電流-電圧特性における非線形特性との関連性を調べたところ、転位一本あたり10^6程度の電子の生成に関与することが明らかとなった。また、同じ傾角を持ち異なる粒界面となるバイクリスタルを作製しその電気的特性を調べたところ、粒界面ごとに異なる挙動を示すことが突き止められた。
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[Publications] Y.Ikuhara, H.Yoshida, T.Sakuma: "Impurity effect on grain boundary strength in structural ceramics"Materials Science and Engineering. A319-321. 24-30 (2001)
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[Publications] T.Ymamoto, Y.Ikuhara, T.Sakuma: "Current-voltage Characteristics across 45° Symmetric Tilt Boundary in Highly Donor-doped SrTiO_3 Bicrystal"Journal of Materials Science Letters. 20. 1827-1829 (2001)
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[Publications] 桑原彰秀, 幾原雄一, 佐久間健人: "第一原理分子軌道法による安定化ジルコニアの相安定性評価"材料. 50. 619-624 (2001)
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[Publications] Y.Ikuhara, T.Yamamoto, A.Kuwabara, H.Yoshida, T.Sakuma: "Structure and Chemistry of Grain Boundaries in SiO_2-Doped TZP"Science & Technology in Advanced Materials. 2. 411-424 (2001)
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[Publications] H.Yoshida, T.Yamamoto, Y.Ikuhara, T.Sakuma: "A change in the chemical bonding strength and high-temperature creep resistance in Al_2O_3 with lanthanoid oxide doping"Philos. Mag.. (印刷中). (2002)
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[Publications] 吉田英弘, 幾原雄一, 佐久間健人: "耐高温クリープ性アルミナセラミックスの粒界構造と電子状態、印刷中"「電子顕微鏡法の実践と応用写真集」日本鉄鋼協会・日本金属学会. (2002)