2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12209001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井原 康夫 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60114386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三品 昌美 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80144351)
辻 省次 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (70150612)
津本 忠治 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50028619)
塚田 稔 玉川大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80074392)
丹治 順 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10001885)
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Keywords | 神経軸索伸長 / 沈黙シナプス / 神経栄養因子 / アルツハイマー病 / γセクレターゼ / ポリグルタミン病 / 筋萎縮性側索硬化症 / 行動制御機構 |
Research Abstract |
各班における特に顕著な業績として以下のものが挙げられる。 A01神経突起伸長の調節に関わるRhoファミリー低分子量G蛋白質の下流で働くエフェクターとしてElmoと呼ばれる分子を発見した(根岸学)。神経細胞の極性形成と軸索伸長に重要な役割を担うCRMP-2の結合蛋白質としてNumbを同定した(貝淵弘三)。ホメオボックス遺伝子Otx2のノックアウトマウスを作成し、Otx2が膜視細胞の運命決定に必要かつ十分であり、またCrxの上流遺伝子として働くことを明らかにした(古川貴久)。A02沈黙のシナプス(silent synapse)の機能的成熟に神経栄養因子が関与していることの発見した(津本忠治)。 A03γセクレターゼの発現には、Ps,Aph-1,Pen-2,Nicastrinの4つの成分が必要であることを示した(富田、岩坪)。またβセクレターゼの非常に強力な阻害剤の開発がすすんでいる(木曽良明)。 A04ポリグルタミン病の治療方向に関しての業績がでつつある。祖父江らは、リュープレリンに続いて、HDAC inhibitorとしてのsodium butylateが治療効果があることを示した。さらに貫名信行は、trehaloseが培養細胞においてhuntingtinの凝集を阻止することを見出し、in vivo(transgenic mice)においても効果があることをしめした。以上は、small moleculeによる治療法の方向を決定づけた点で重要であろう。郭伸は、ALSのグルタミン酸仮説の長年にわたる検討から、AMPA recepterのR2 subunitのediting enzyme活性がALSでは特異的に低下していることを見出した。R2のeditingがおこらないとCAが流入しやすくなり、このために運動ニューロンが死ぬという仮説を提出した。 B01三品昌美は、NMDA受容体GluRεl欠損マウスにおいて視覚中枢の方向選択性の発達が障害されることを見出した。斉藤実は、ショウジョウバエにおいて老化に伴う記憶障害は、中期記憶欠損変異株にみられる記憶障害と同様であることを見出した。小林和人は、D2受容体発現ニューロンの誘導的破壊により線条体-淡蒼球ニューロンは淡蒼球の抑制を介して自発運動を抑制することを示唆した。 B02中脳のドーパミン細胞が、行動の動機情報ならびに行動結果に関する情報を有していることを、霊長類の行動下で、直接的に証明した(木村實)。ヒトの聴覚野における認知的情報処理機構のイメージングを実現した。さらに、側抑制の発現を証明し、次いで子音の処理機構を客観的に示した(柿木隆介)。個体識別の中で、顔の識別の機構は特に重要視されているが、その識別には、下側頭葉の前方部のニューロンが重要な役割を示すことを明らかにした(小野武年)。事象の出現順序の処理機構は、エピソード記憶生成の重要部分である。その処理に際して、前頭前野の細胞がいかなる関与をするかを明らかにした(丹治順)。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Shiomi K., Uchida H., Keino-Masu K., Masu M.: "Ccd1, a novel protein with a DIX domain, is a positive regulator in the Wnt signaling during zebrafish neural patterning"Curr.Biol. 13. 37-77 (2003)
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[Publications] Itami C., Kimura F., Kohno T., Matsuoka M., Ichikawa M., Tsumoto T., Nakamura S.: "Brain-derived neurotrophic factor-dependent unmasking of "silent" synapses in the developing mouse barrel cortex"Proc Natl Acad Sci USA. 100. 13069-13074 (2003)
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[Publications] Sato T., Dohmae N., Qi Y., Kakuda N., Misonou H., Mitsumori R., Maruyama H., Koo EH., Haass C., Takio K., Morishima-Kawashima M., Ishiura S., Ihara Y.: "Potential link between amyloid beta-protein 42 and C-terminal fragment gamma 49-99 of beta-amyloid precursor protein"J Biol Chem. 278. 24294-24301 (2003)
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[Publications] Hara K., Fukushima T., Suzuki T., Shimohata T., Oyake M., Ishiguro H., Hirota K., Miyashita A., Kuwano R., Kurisaki H., Yomono H., Goto J., Kanazawa I., Tsuji S.: "Japanese SCA families with an unusual phenotype linked to a locus overlapping with SCA15 locus"Neurology. 62. 648-651 (2004)
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[Publications] Inoue M., Mishina M., Ueda H.: "Locus-specific rescue of GluRepsilon1 NMDA receptors in mutant mice identifies the brain regions important for morphine tolerance and dependence"J Neurosci. 23. 6529-6536 (2003)
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[Publications] Isoda M., Tanji J.: "Participation of the primate presupplementary motor area insequencing multiple saccades"J Neurophysiol. (in press).