2004 Fiscal Year Annual Research Report
大脳基底核-大脳皮質系における学習と思考の神経機構
Project/Area Number |
12210015
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
木村 實 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (40118451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 直幸 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (00252726)
上田 康雅 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (60332954)
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Keywords | 大脳基底核 / 線条体 / 視床 / 動機づけ / CM / Pf核 / 報酬 / ドーパミンニューロン / 注意 |
Research Abstract |
研究1: 視床髄板内核を構成するCM/Pf核は、大脳皮質、大脳基底核の出力と中脳、脳幹からの投射を受け、線条体に主要な出力を送ること、木村らの最近の成果に基づいて、「大脳皮質-基底核ループ系は、動機づけに基づいて望ましい行動や認知情報を予測的に選択すると共に、予測から外れた事象が現れた場合には、望ましい選択肢をあきらめて他の選択肢を選ぶ。その機能には視床CM/Pf核から線条体に投射する視床線条体系が関与する」という仮説を提唱した(本村ら、2004)。この仮説を検証するために、視床のCM核と線条体の単一神経細胞活動を記録し、GO-NOGO課題に報酬の大小を付けた課題を行わせた。視床CM核の半数以上のニューロンは小さな報酬の選択肢を行うことを支持された場合に強く活動し、大きな報酬の望ましい選択肢を行う指示が与えられた時にはほとんど活動しないことが分った。このことは木村らの仮説を強く支持する(Minamimoto et al.,論文改訂中)。 研究2: 大脳基底核線条体の報酬依存的な学習の仕組みを調べるために、ヒトを被験者として選択肢の報酬確率を試行錯誤によって推定し、確率の高い選択肢を選ぶ課題を行わせ、機能的MRIによって脳活動を調べた。その結果、尾状核が学習に伴う報酬獲得の推移と被験者の行動の改善の時間経過と高い相関を示すことを見出し、線条体が報酬依存的な学習の座であることを明らかにした(Haruno et al.,2004)。行動の結果得られる報酬と嫌悪刺激がどのように、線条体での行動計画に反映されるかを調べるために、サルに反応時間課題を行わせ、視覚刺激によって予め報酬、嫌悪刺激が現れることを教示した。線条体のコリン作動性介在ニューロンの活動を調べると、報酬、嫌悪刺激を知らせる教示刺激に対して選択的に応答し、しかも報酬や嫌悪刺激を識別する活動をした。したがって、コリン作動性介在ニューロンは刺激の持つ動機づけ文脈をコードすることが明らかになった(Yamada et al.,2004)。
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Research Products
(8 results)