2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12301005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
苧阪 直行 京都大学, 文学研究科, 教授 (20113136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蘆田 宏 京都大学, 文学研究科, 助教授 (20293847)
福山 秀直 高次脳機能総合研究センター, 教授 (90181297)
柴崎 浩 京都大学, 医学研究科, 教授 (30037444)
苧阪 満里子 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (70144300)
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Keywords | ワーキングメモリ / リーディングスパン / 前頭前野 / ACC / 注意 / 中央実行系 |
Research Abstract |
ワーキングメモリは毎日の社会生活を過ごすのになくてはならない生きた記憶システムである.入力情報に対する選択,保持,想起,検索などの多くの認知情報処理と適応的行動はワーキングメモリが深くかかわっている. 言語性ワーキングメモリと深くかかわるCE(中央実行系)は最も注目される注意制御機構であるが,CEの脳内メカニズムについては前頭前野の背外側領域(Dorsolateral prefrontal cortex : DLPFC)や腹外側領域(Ventrolateral prefrontal cortex : VLPFC)に局在するのかあるいはワーキングメモリ負荷によってより広い領域に活性化が広がるのか明確ではなかった.本年行った高齢者のワーキングメモリ実験(fMRI)研究によれば,高齢者ではACC(前部帯状回)の活性が低下することが明らかになった.これは判断や保持などをコントロールする注意の機能が劣化することを示している.ACCは言語性ワーキングメモリや入力情報に対する選択,保持,想起,検索などにともなう注意の処理を行っていると推定されているが,今年度の研究においても特に言語処理についてはそれが確認された.まだまだ未解決のワーキングメモリの高次機能は多いが次年度には空間ワーキングメモリや他の高次言語課題にも問題を展開して行く予定である.
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[Publications] Osaka, M., Nishizaki, Y., Komori, M., Osaka, N.: "Effect of focus in verbal working memory : Critical role of focus word in reading"Memory & Cognition. 30. 562-571 (2002)
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[Publications] Osaka, N., Osaka, M.: "Individual differences in working memory during reading with and without parafoveal information : A moving window study"American Journal of Psychology. 115. 501-513 (2002)
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[Publications] 苧阪満里子, 西崎友規子, 小森三恵, 苧阪直行: "ワーキングメモリにおけるフォーカス効果"心理学研究. 72. 508-515 (2002)
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[Publications] 苧阪直行: "中央実行系の脳内表現"心理学評論. 45. 213-226 (2002)
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[Publications] 苧阪直行: "21世紀の科学をつくる:脳の謎に挑む-意識とワーキングメモリー"数理科学. 8月号. 68-77 (2002)
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[Publications] 苧阪直行: "脳のニューロイメージ研究と実験計画"色彩学会誌. 26. 177-184 (2002)
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[Publications] 内藤智之, 苧阪直行: "上下視野内での注意の非対称性-刺激属性に対する注意の効果について"生理心理学と精神生理学. 20. 215-224 (2002)
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[Publications] Osaka, M., Osaka, N., Kondo, H., Morishita, M., Fukuyama, H., Aso, T., Shibasaki, H.: "Neural basis of individual differences in working memory : An fMRI study"NeuroImage. 18,3. 789-797 (2003)
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[Publications] Osaka, N., Osaka, M., Kondo, H., Morishita, M., Fukuyama, H., Shibasaki, H.: "An emotion-based facial expression word activates laughter module in the human brain : An fMRI study"Neuroscience Letters. (In Press). (2003)
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[Publications] 近藤洋史, 森下正修, 蘆田佳世, 大塚結喜, 苧阪直行: "読解力とワーキングメモリ:構造方程式モデリングからのアプローチ"心理学研究. 73. 480-487 (2003)