2002 Fiscal Year Annual Research Report
地球情報社会における地域社会発展の条件に関する研究
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12301009
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
矢澤 修次郎 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (20055320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉原 功 明治学院大学, 社会学部, 教授 (60062171)
伊藤 守 早稲田大学, 教育学部, 教授 (30232474)
古城 利明 中央大学, 法学部, 教授 (70055185)
山田 信行 駒沢大学, 文学部, 助教授 (80287002)
新原 道信 横浜市立大学, 商学部, 助教授 (10228132)
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Keywords | ネットワーク化 / 情報化 / グローバル化 / ネットワーク組織 / 共同性 / コミュニティー・ネットワーク / 地域性 / 革新のミリュー |
Research Abstract |
(1)グローバル化とローカル化の同時進行が強調されて久しいが、それを言うだけでは不充分であり,もう一つインディビジュアル化が同時進行し、この3つのものの矛盾を孕んだ同時進行を捉えて初めて,問題の核心に至ることができる。今日ローカル、地域社会はグローバル化とインディビジュアル化を媒介するものとしてとりわけ重要である。 (2)現時点でわれわれは、3つの情報社会モデルを区別することができる。一つはシリコンバレー・モデル、すなわち市場が主導する開かれた情報社会モデルである。二つはフィンランド・モデル、すなわち福祉国家と情報社会が相互作用する福祉情報社会である。三つはシンガポール・モデル、つまり発展国家が主導する権威主義的な情報社会である。 (3)日本は、未だ独自の情報社会モデルを見出しているようには見えない。情報社会化といえば,市場主義が称揚されたり、その反対に市場の失敗、国家の失敗に学んだ「ボランタリー経済」の重要性が強調されたりしてきた。しかし三つの情報社会モデル、さらにはアジアの歴史に照らして考えても、福祉国家、発展国家の要因を無視して、情報社会の成功はおぼつかないのではなかろうか。要するに,三つのモデルの意識的、有機的なアーティキュレーションなくしては、情報社会化の成功はないのではないだろうか。 (4)以上の視角から、本研究は地域として、岐阜、神戸、高知、沖縄などに注目して、地域社会の動態を分析してきた。家族、福祉、国際交流、教育、産業、メディアなどの側面からするそれら地域社会の動態分析は、各地域の個別的な特性を浮き彫りにしてきたが、技術、経済、イノベーション度、教育、健康、福祉、政治、市民社会、グローバル度などの指標化を進めてそれらの地域を比較し,結果として情報社会,地域社会の発展は、三つのモデルのアーティキュレーションであることを実証したい。
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[Publications] 矢澤 修次郎, 柚木 寛幸訳: "21世紀の幕開けにおけるグローバルガバナンスの問題と展望(A.マルティネリ講演の訳出)"社会学評論. 53巻1号. 13-38 (2002)
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[Publications] 伊藤 守: "グローバル化とテレビの文化地政学"言語. 31巻13号. 30-38 (2003)
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[Publications] 矢澤 澄子: "国際的にみた女性問題"広岡守穂編 男女共同参画社会と学校教育(教育開発研究所). 46-49 (2002)
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[Publications] Furuki Toshiaki(古城利明): "Considering Okinawa as a frontier"Glenn D. Hook and Richard Siddle(eds.), Japan and Okinawa : Structure and Subjectivity, Routledge. 21-38 (2003)
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[Publications] 新原 道信: "ヘテロトピアの沖縄"西成彦・原毅彦編『複数の沖縄』(人文書院). 409-430 (2003)
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[Publications] 長谷川 裕: "教員文化を掴むために-教員本調査データの分析から"久冨善之編 教員文化の日本的特性-歴史、実践、実態の探求を通してその変化と今日的課題をさぐる-(多賀出版). 168-207 (2003)
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[Publications] 伊藤 守 編: "メディア文化の権力作用"せりか書房. 253 (2002)