2000 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀中国社会の構造的変動と日本-新たな日中関係史研究の模索-
Project/Area Number |
12301019
|
Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
久保田 文次 日本女子大学, 文学部, 教授 (20060650)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 比呂志 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (90269572)
松重 光浩 広島女子大学, 国際文化学部, 助教授 (00275380)
飯島 渉 横浜国立大学, 大学院・国際社会科学研究科, 助教授 (70221744)
川島 真 北海道大学, 法学部, 助教授 (90301861)
深町 英夫 中央大学, 経済学部, 助教授 (00286949)
|
Keywords | 日中関係史 / 国際環境 / 日清戦争 / 地域社会の変容 / 台湾の植民地化 |
Research Abstract |
本年度は、研究課題にかんする従来の研究の整理を行うため、不定期に研究会を開催し、従来の研究ではほとんど検討されてこなかった資料群(例えば、国際連盟関係資料)の整理を行った。この間、研究分担者は、電子メールでの意見交換を頻繁に行うとともに、今回の研究プロジェクトに関するHP(www.econ.ynu.ac.jp/member/Iijima/2001toppage.htm)を設定した。現在は、基本情報の提供にとどまっているが、逐次、情報公開を行っていく方針である。 以上の研究の中で、メンバーによる海外調査(ヨーロッパ、中国)、国内調査(下関など)を実施し、特に下関では、20世紀の日中関係の起点となった日清戦争関係の史跡を見学し、本年度の研究を総括するとともに、次年度以後の課題を展望した。 本年度においては、以上の研究の過程で、以下の点が確認された。 (1)従来の研究は、多くの成果をあげてきたが、依然として十分に検討の加えられてこなかった問題、資料も残されている。特に、日中関係を当時の国際関係の中で位置づける作業は、一定の研究成果があるが、日中関係を日米関係や、日英関係、日朝関係、さらには国際環境の中でトータルに検討する作業は依然として不十分であること。特に、国際連盟との関係は、今後の研究課題であること。 (2)日中関係については、政治(軍事)、経済からの分析が中心であったが、これは、両国関係を中央政府レベルでの関係から分析してきた結果であった。このため、江南、中国南部(広東、福建)、中国東北などの各地域社会の変容が日中関係にどのような影響を与えたのか(さらには、台湾の植民地化が日中関係においてどのような意味を持ったか)等については、体系的な研究は行われていないこと。 すなわち、「新たな日中関係史研究の方法」を模索するためには、国際環境と地域史研究という二つの研究視角からの接近とその総合が重要であることが明らかになった。以上の視角の重要性は、海外調査等を通じて、外国人研究者との意見交換の中でも確認された。 そこで、次年度以降には、複数の外国人研究者を招聘し、研究会を開催し、緊密な意見交換の場を持つことの必要性が確認された。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 久保田文次: "黄仁宇著『蒋介石・マクロヒストリー史観から読む蒋介石日記』の翻訳について"近きに在りて. 37号. 84-101 (2000)
-
[Publications] 久保田文次: "『革命評論』廃刊後の萱野長知"史艸. 41号. (2000)
-
[Publications] 田中比呂志: "清末の地方自治と地方エリート"東京学芸大学紀要(第三部門・社会科学). 52集. 93-104 (2001)
-
[Publications] 飯島渉: "「海と疫病-つなぐ海、へだてる海-」、尾本恵市等編『海のアジア』第一巻"岩波書店. 283(199-217) (2000)
-
[Publications] 飯島渉: "ペストと近代中国"研文出版. 380+42 (2000)
-
[Publications] 曽田三郎 編(松重充浩共著): "『近代中国と日本』"御茶の水書房. 348(107-137) (2001)